研究課題/領域番号 |
18K01873
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
寺本 高 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (60609915)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 伝染購買 / 投稿 / 返信 / 適度な不一致 / 購入意向 |
研究実績の概要 |
当該年度には,消費者間の店舗・売場情報の共有が伝染購買に与える影響を明らかにした。具体的には,ソーシャルネットワーキングサービス(以下,SNS)の会員がチェーン小売業での販売商品に関する情報を共有した結果,当該チェーン小売業への購買行動がどのように変化するのかを明らかにした。方法は,まず,当該チェーン小売業の顧客を対象に,調査機関が運営しているSNSに入会してもらう。その上で,①会員の主要チェーン小売業への利用状況,評価(態度)について聴取し,②一定期間(3週間)の会員のSNSへの発信・受信履歴を収集した後,③会員に対して①と全く同一の質問を聴取する。さらに④SNSへの発信・受信期間前後1週間を含めた当該チェーン小売業での会員の購買履歴(5週間)と,⑤購買履歴と同期間において当該チェーン小売業以外の店舗で会員が購買した食品・日用品の全購買レシートを収集する。②の受発信履歴と①・③の回答の変化の関係から,会員の態度に影響を与えるSNS受発信の要件(発信者の特性,テーマ,コメント内容)を,②の受発信履歴と④・⑤の購買の変化の関係から,会員の伝染購買に影響を与えるSNS受発信の要件を導き出した。具体的な要件としては,自分の投稿に対して「新発見」というように「適度な不一致」に関する返信を多く得られている会員は,周りの会員に伝染購買の影響を与えていること,逆に自分の投稿に対して「今度買ってみよう」「食べてみたい」という「購入意向」に関する返信を得られていることは,伝染購買には関係のないこと,などが明らかになった。ただし,基本的な分析を達成することができたが,今後は分析モデルの精緻化が課題として出てきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の課題に対応するための調査の実施とデータの収集が順調に進み,分析モデルの精緻化という課題は残るものの,当初計画で想定していた分析の実施を達成することができた。しかしながら,データの収集に関する作業の優先度を上げたため,先行研究のレビューはやや不十分であるところがある。この点から,「やや遅れている」という自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
まず当該年度に予定していた部分で少し遅れている「先行研究のレビュー」を進める。次に,当該年度で行った分析のモデル部分の精緻化を行う。そのうえで,当該年度の分析で明らかになった知見を基に,その頑健性の確認も含めた実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に使用予定であった調査費用が,他の助成研究で収集した調査データの併用によって計画していた金額よりも低額で済んだため,次年度使用額が生じた。次年度使用額については,次年度に実施予定の実験費として使用する予定である。
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