研究課題/領域番号 |
18K01873
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
寺本 高 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (60609915)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 伝染購買 / 店頭陳列 / 知覚バラエティ / 視認 / 投稿 |
研究実績の概要 |
当該年度には,前年度研究において明らかになったSNSでの売場情報の共有と伝染購買の関係の知見を踏まえ,売場陳列に対するバラエティ知覚,視認行動,購買行動,さらには投稿行動の一連の行動を捉える検証実験を実施した。具体的には,①最もバラエティ感を感じる売場のSKU数水準を把握する,②①で明らかになった最適SKU数の陳列に対して、陳列への視認状況,購買SKU数,陳列写真の撮影と投稿行動の有無を明らかにする,の2つの調査実験を行った。その結果,次の2つの知見を得ることができた。①「品揃えを多く感じる」(知覚品揃多様性)と「品揃えの分かりやすさ」(知覚処理円滑性)の2つの指標からバラエティを捉えられること,②①による最適SKU数の陳列は,「売場の好印象を与える」「バラエティシーキング(複数アイテム購入)を促す」「初見から数秒間(接近時)で陳列内容の視覚的処理をしやすい」「その視覚的処理のしやすさが投稿を促す」効果があることが明らかになった,である。当初計画では,SNS参加者にインセンティブを提供することによる投稿行動と伝染購買の促進効果を捉えることを当該年度の目的としていたが,前年度研究において明らかになった投稿内容と伝染購買の関係を踏まえ,「投稿された内容(陳列写真)をどのように見て考えて投稿や購買に至るのか」というメカニズムの把握がより重要であると捉え,その一連の行動の因果関係を把握する実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた当該年度の課題を修正する形の調査実験を行ったが,消費者の視認→知覚→購買→投稿,という一連の意思決定行動のメカニズムを把握することができたため,当初計画していた以上の大きな知見を得ることができた。またこの調査実験を行うに当たって,前年度遅れていた先行研究のレビューも十分に行うことができたため,この2点の成果を踏まえて「当初の計画以上に進展している」という自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と当該年度の研究により,大きな知見を得る研究成果となったことから,報告書のとりまとめと並行して,積極的な情報発信を進める予定である。具体的には,査読付き国内学術誌,査読付き国際会議,査読付き国際学術誌への投稿を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に追加実験を行う必要性が生じたことから,次年度の使用予定額を前倒し申請して予算を確保したが,最終的には当初予算より少ない費用となったため,その分が余剰額として残った。次年度には,査読付き国際学術誌への投稿準備のための英文校正費として使用する予定である。
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