本研究の目的は、東アジアの流通政策の比較研究を通じて、「事業継承」、「社会関係資本」、「空間」の因果関係を明らかにし、日本の流通政策の特殊性を浮き彫りにすることである。そのために、研究計画は「資料整理や文献研究」および東アジアの商業集積を中心とした定性的調査を実施し、発見事実を理論的検討し、成果を発信することであった。最終年度で得られた研究実績は2つにまとめることができる。 1.事業継承とコミュニティ 事業継承に関する経済成果とコミュニティの因果関係について明らかにした。とりわけ、まちづくり活動が事業継承意志の高揚にポジティブな影響を与えることが発見できた。家族従業者数と投資志向は、事業継承意志の高揚に影響を与えることが確認できた。 2. 空間と商人精神 日本と韓国の繊維産業集積間の協業、特に新たな需要創造行動を積極的に行う商人的革新者としてレバノン系卸売の戦略的取り組みを分析した。また、リンケージ企業に関する既存研究をレビューし、商人的調整者が空間的制約を超え、新しい産業集積の創出において影響力を発揮する中国の電子自動車産業集積の事例を分析した。
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