研究実績の概要 |
コロナ2019のパンデミックの影響により本研究課題は、当初予定の3年間から2度の延長をおこない、2022年度末をもって課題完了となった。衣料品小売業における競争に関するテーマにおいては、近年の小売集中化傾向に鑑み、いわゆる覇権市場 (The Big Middle)に到達した小売業者が (1)どのようなプロセスを経てその地位に到達したのか、そして (2)その覇権市場における安定的な地位を実現することができているのは、どのような原因条件によるものなのか、という2つの問いに沿って研究を進めてきた。 前者については過程追跡法 (Process Tracing Method: PT)を、後者については質的比較分析 (QCA)を研究方法として採用した。2021年度から2022年度にかけてこれらを用いた研究成果を学会 (IMP, CERR, ACRA, 日本商業学会など) で報告するとともに、学術誌 (International Journal of Retail & Distribution Managementなど)で発表した。それとともにこれらの方法論自体の研究にも取り組んだ。QCAの方法論については、学術誌(『マーケティング史研究』)への寄稿をおこなったほか、日本商業学会ではチュートリアル・セッションを実施した。 食品小売業についての研究テーマにおいては、社会構造の長期的変化や流通技術の進展などを背景とする買い物行動の変容を念頭に置き、小商圏・マイクロ商圏での小型スーパーをめぐる消費者の業態認識やE-tailingの利用有無などと財布シェアとの関係を明らかにする実証研究をおこなった。その結果の一部は学術誌(International Journal of Retail & Distribution Management)で発表した。
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