研究課題/領域番号 |
18K01889
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
菅野 佐織 駒澤大学, 経営学部, 教授 (00383373)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 消費者行動 / 感情 / ブランド・リレーションシップ / ブランドの擬人化 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、ブランド・リレーションシップ研究の文脈で、消費者によるブランドの擬人化に関する研究の整理と課題について検討を行った。ブランドの擬人化は、キャラクターを用いたマーケティングや、ブランド・パーソナリティを設定したマーケティングなど、企業マーケティングにおいて数多く存在することが指摘されており(Aggarwal and McGill 2007)、消費者がブランドを擬人化することによって、ブランドに対する感情を喚起させ、また、ブランドに対する愛着やロイヤルティを高めることにも影響を与えていることが指摘されている。 本研究では、既存研究のレビューによって、消費者とブランドの関係性(ブランド・リレーションシップ)のとらえ方には、3つの視点があることを明らかにした。1つ目の視点は“モノとしてのブランド(brand as an object)”であり、多くのマーケティング研究において優勢的なとらえ方である(例えばAaker 1991;1996; Keller 2003)。2つ目の視点は“人としてのブランド(brand as a person)”であり、この見方は、消費者行動研究に多く見られるものである(例えばAaker 1997; Fournier 1998)。3つ目の視点は“自己としてのブランド(brand as self)”であり、この視点も消費者行動研究にはよくみられる(例えばEscalas 2004; Escalas and Bettman 2003;2005;2009; 久保田 2010)。本研究では、2つ目の視点である「人としてのブランド」に着目し、なぜ消費者はブランドを擬人化するのか、消費者によるブランドの擬人化のタイプにはどのようなタイプがあり、どのようなことが分かっているのかについて、既存研究をレビューし整理を行った。研究の詳細については、論文「ブランド・リレーションシップの再考~ブランド・リレーションシップの類型に着目して~」を参考にしていただきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度から2年間、学部執行部の役を引き受けることとなり、学務に時間をとられることが多くなってしまったため、研究の進捗が計画よりも大幅に遅れてしまった。海外での学会発表を視野にして研究を進めていたが、学務によって参加ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、ブランドの擬人化と消費者感情、態度との関連について研究を進める予定である。また、令和2年度の状況として、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、消費者感情が不安定となっていることから、消費者調査を再検討中である。特に世界的パンデミックによって消費マインドが低迷していることもあり、こうした状況を加味した調査計画を再検討する必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に述べた通り、当該年度から執行部の役割を担うこととなり、研究の遂行および海外学会での発表や資料収集が予定通りに行かなかったことが挙げられる。
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