研究課題/領域番号 |
18K01890
|
研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
五十嵐 正毅 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (40615358)
|
研究分担者 |
白井 康之 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (20597512)
渡邊 直人 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (70434272)
国府 俊一郎 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (90759721)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 広告 / インターナル・コミュニケーション |
研究実績の概要 |
平成31年度は3か年の研究計画の2年目として、1年目のステップ1(論理的仮説モデルの構築)の成果発表と、ステップ1をうけたステップ2(特定組織を対象とした因果モデルの記述と検討)に取り組んだ。 ステップ1で行った先行研究のレビューおよびテーマに残された研究課題について、論文化のうえ令和元年9月に発表した(五十嵐, 2019)。同論文では、本研究課題について実務家も含めて一般的に口にのぼる「広告のインターナル効果」という用語を標題に用いて、国内外の主要な議論と海外広告研究において本研究と関心の近しい主要な研究の潮流についてとりまとめた。学術的研究という視点からは、特に米国のCelsi(Wolfinbarger)とGillyの一連の研究や、欧州のRosengrenとBondessonの一連の研究が重要な貢献を果たしていることを確認し、本研究を進めていくうえでも土台と位置付けられることが分かった。また、五十嵐(2019)では、先行研究のレビューを通じて研究テーマに関連して残された課題を大きく4点指摘するに至った。これらの課題は、研究分野を深掘りしていくのに示唆を与えるものであり、本研究のオリジナリティにもつながる議論となった。 五十嵐(2019)の発表準備と合わせて、ステップ2に向けた調査設計、プリテスト、実際の企業の協力を得た本調査の実施を行なった。プリテストを経て概念や測定尺度等の調整を行い、年度内(年内)に国内本調査を終えている。現在、その結果分析と発表の準備を進めており、令和2年度中に発表を見込んでいる。 また、プリテストで得られた成果の一部を論文化をしており、国内で定評ある広告研究誌『日経広告研究所報』にて発表する予定となっている(五十嵐ほか, 2020; 印刷中)。プリテストとしての限界もあるが、本研究テーマに関わる稀有な国内研究成果になったと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステップ2までの進捗はおおむね順調であり当初予定どおりである。ステップ3(海外で活躍する日本企業へのモデルの応用)への展開を検討するにあたり、世界的な新型コロナウイルス問題の影響をうけ、準備・調査協力の獲得に遅れが生じ始めている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和2年度は3か年計画の最終年としてステップ3(海外で活躍する日本企業へのモデルの応用)への展開を予定している。 そこでは、国内企業調査を経て得られたステップ2(特定組織を対象とした因果モデルの記述と検討)の成果をもとに、海外で活躍する日本企業等の調査を通じて国際的な一般化を検討することをねらいとしている。 ただし現在のところ、令和元年度末頃からの世界的な新型コロナウイルス問題の影響をうけ、準備・調査協力の獲得に遅れが生じ始めている。 しかしながら、ステップ2までの成果をふまえて、当研究グループが研究活動において次に取り組むべきことは明確になっているととらえている。当研究グループが拠点を置く東京都(埼玉県)の緊急事態宣言の状況や大学の状況を見極めるとともに、協力依頼を想定する複数の海外企業が研究調査に協力してもらうことが可能かどうか、といった状況を見極めながら、可能であれば令和2年内の調査実施を行ない、年度内に本研究課題の一定の結論を導くまでに至りたい。 なお、本研究課題についてすでに得られた成果については、本年度も発表を行なっていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題ではこれまで、文献収集等の物品費、調査協力企業等との打合せや学会発表等に関わる旅費、調査の実施・分析・報告に関わる経費として見込んでいたその他経費、のいずれにおいても大幅な経費節約を実現しながら進めることができてきた。 物品費については、文献資料の多くを大学の電子ジャーナルシステム等を活用しながら収集できていることが大きい。旅費については、国内調査の協力企業を首都圏から比較的近隣で獲得できたため、複数人が出張する複数回の打合せ(のべ13人分)を設ける必要があったものの、宿泊を伴う必要もなく大幅に節減ができた結果となった。ただし、最終年度に向けた海外協力企業との打合せをこれまでにもてておらず、今後海外渡航をともなう旅費が発生することが見込まれる。その他経費については、調査の実施・分析・報告に関わる経費として研究経費のうちの多くを見込んでいたが、国内本調査の実施においては協力企業の献身的な協力のおかげもあり、フリー利用が可能なインターネット・システムを活用することでほとんど経費をかけずに実施することができた。 しかしながら、これらは単に幸運に恵まれたものともいえ、今後の研究活動においては逆にコロナ禍の影響もあるなかで通常想定以上の経費を必要とすることも考えられる。お預かりしている研究経費は、十分な研究活動に資するように有効に(もちろん節約しながら)活用していきたい。
|