研究実績の概要 |
今後の分析枠組みの設定を目的に顧客の満足度指標とその企業の成果指標の関係性を明らかにしようと試みた。顧客の満足度を測定するための指標として米国企業の売上上位500社(Fortune 500)の35%が利用しているNet Promoter Scoreを用いた。今回の目的はその評価値と企業の成果指標の関係性を実証的に確認することと、さらには日本独自の顧客推奨指標を仮説的に策定することにある。 背景にはライクヘルドらが開発したNPSは日本企業の多くで近年採用され、それらの企業の戦略的意思決定のための情報として用いられることが急速に増加している一方で、日本人消費者には指標の適合度が低いのではないかとの批判が多く見受けられることがある。 理由としては日本人の他国人に比べての回答傾向の違いが考えられた。Chen, Lee and Stevenson (1995)、Tazaki and Shin (2017)、Harzing (20016) は日本人は他国人に対してMRSと呼ばれるmid-point responseを選ぶ割合が多く、またARSと呼ばれるAcquiescene responseを示す割合が低いことを指摘している。またMeyer (2014)がThe Cultural Mapの中で示しているように、調査の結果から日本人と米国人ではcommunicating, Evaluating, Disagreeingといった文化的要素で多大な差異が見られることが証明されている。 これらを理論的背景に顧客推奨度と業績を実証的に測定する独自調査を行った。対象は化粧品会社(回答数7,538人)、日用品会社(同6,403人)、食品宅配企業(同1,243人)、ファッションECサイト(同9,450人)である。結果を元にNPSを修正した日本版の独自モデルを開発し2018年9月の国際学会にて報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顧客推奨度と業績を実証的に測定する独自調査を行った。対象は化粧品会社(回答数7,538人)、日用品会社(同6,403人)、食品宅配企業(同1,243人)、ファッションECサイト(同9,450人)である。分析結果を元に、NPSを修正した日本版の独自モデルを開発し2018年9月の国際学会にて報告を行った。本パートはサッサー、ヘスケットらが提唱したService Profit Chainの後半部分のプロセスをもとにした実証分析である。
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