2020年度は新型コロナ感染拡大に伴い、参加を予定していた国際学会がいくつか中止になり、急遽研究報告を国内学会(日本マーケティング学会 マーケティングカンファレンス2020 オーラルセッション)に切り替えた。報告においては、NPS(Net Promoter Score)の日本人消費者を対象とする際の適用性について検討した。究極の質問(Ultimate Question)と呼ばれるただ一つの質問に対しては、問題を解明するには単純化しすぎているとの指摘や科学的な厳密性の面から疑問を差し挟む議論もあるが、その対象企業、製品、サービス、ブランドといったものの多様な特性や対象とする種々の顧客属性、そして個々の市場特性を考慮するならそれは驚くものではなく、NPSの現実のビジネスにおける有用性を根本から否定するものではない。究極の質問と呼ばれる質問方法に対しては、NPSの信頼性と有効性などの面において実証的な研究をもとにいくつかの疑問点その信頼性や妥当性の点から疑問も投げかけられてきており、それらを指摘するとともにその実務上の適用性に焦点をあて、日本市場でどのように使われるべきかという視点から検討をおこなった。今回の結論として、日本市場においてより妥当性が高く、さらに利用可能性が高い独自のPSJ(Promoter Score Japan)モデルを提唱した。その報告を契機にあらたな日本の企業との共同研究への足がかりをいくつか得た。
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