本年度は引き続き時系列分析をもとに、次世代金融サービスの顧客化階層分析を実施し、金融サービスの「試用率」「常用率」へ顧客化階層推移率がどの程度影響を与えているのか分析を行い、ワーキングペーパーにまとめている途中である。 次世代金融サービスの顧客化階層分析を実施し、金融サービスの「試用率」「常用率」へ顧客化階層推移率がどの程度影響を与えているのか、各々を被説明変数とし各顧客化階層推移率を説明変数候補とする線形回帰モデルを構築し推定を行った。次世代金融サービスについては不認知⇒認知⇒理解の推移だけでは顧客化ができず、理解⇒試用の推移率がボトルネックであることが示された。顧客化階層は自動的にはつながらず、理解⇒試用⇒常用の関連が問題になる。重要なのは、顧客化階層において新たな金融サービスをどのような顧客接点から「試用」し「常用」化するのかという点である。試用者にいかに反復的に利用してもらえるのかは、その金融サービスの「経験価値」に依存する。金融サービスの品質は経験価値からは切り離すことができず、使用価値から得られる満足度は常用化につながる。経験価値の構成は、サービスへの加入の容易さ、利用のしやすさ、常用することの便益など様々な要素からなる。今後の研究課題としては、金融リテラシー別の顧客化戦略など消費者インサイトに切り込み、さらに詳細な分析を実施し、次世代金融マーケティング戦略の検討を続けたい。
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