研究実績の概要 |
本研究の目的は、不確実性の高い市場環境に直面したマーケターが、いかに課題解決を行うのかを分析し、近年アントレプレナーシップ研究を中心に注目されている「エフェクチュエーション」(Sarasvathy 2001, 2008)の論理のマーケティング課題に対する適用可能性を明らかにすることにある。最終年度の2023年度は、これまでの調査・研究の成果発表として、5本の学術論文、1件の書籍執筆、4件の学会発表という成果を遺すことができた。その中には、日本マーケティング学会の学会誌『マーケティングジャーナル』への招待査読論文や、医療における意思決定支援の研究を行う研究者との共同研究が発展した成果として日本生命倫理学会の学会誌『生命倫理』に掲載された査読論文などが含まれる。 学会発表では、8th Effectuation Conference(in Gdansk, Poland)にて“Decisions made by an experienced marketer in new market creation process”という論題での発表を行い、今後の論文投稿に向けたフィードバックを得た。また、本研究を通して得た知見を反映させたエフェクチュエーションの書籍として出版した『エフェクチュエーション―優れた起業家が実践する「5つの原則」』(ダイヤモンド社)は、2024年4月時点で第6刷(約27000部)となり、研究成果を産業界に対して還元することへも一定の貢献をできたと考えている。さらに、産業界との関係の深化から、新たな事例研究や研究課題の機会が創発している現状があるため、研究期間が終わった後にも、本研究課題の成果を継続的に発表できるようにしていきたいと考えている。
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