研究課題/領域番号 |
18K01900
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
佐々木 保幸 関西大学, 経済学部, 教授 (20268288)
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研究分担者 |
田中 道雄 大阪学院大学, 商学部, 教授 (10248263)
鳥羽 達郎 富山大学, 経済学部, 教授 (40411467)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コメルス・アソシエ / 小売商業の協同事業 / ボランタリー・チェーン / フランス小売企業 / 小売企業の国際的事業展開 / オムニ・チャネル / 協同組合 |
研究実績の概要 |
研究初年度は、フランスのコメルス・アソシエの全国組織であるFCAへのインタビュー調査を実施するとともに、 ヨーロッパにおける協同組合論や社会的連帯経済論に関する資料収集に努めることを第1目的とした。フランスでの現地調査は、研究分担者である鳥羽とともに2018年9月に実施した。また、必要文献や資料も適宜収集し分析を進めている。 研究は、コメルス・アソシエの事業展開に影響を及ぼす小売企業の国際事業展開やボランタリー・チェーン等を中心に研究を進めた。その成果は、以降の項で記した佐々木の論文1本、著書1冊、学会発表1回、鳥羽の著書1冊、学科発表3回を中心に提示することができた。 元来、大規模小売業としてのハイパーマーケットへの対抗策の一環として登場したコメルス・アソシエであるが、今日では、国際的小売競争やインターネット販売の拡大(研究協力者・森脇の研究業績有)とそれに伴うオムニ・チャネルの進展といった小売環境変化を背景に、競争力の強化を企図して、一部アソシエ企業において大手ハイパーマーケット企業との提携がみられる。そのような現象については、「近年におけるフランス小売企業の経営戦略‐カルフールのCarrefour 2022を中心に‐」として学会研究発表を行った。また、コメルス・アソシエのチェーン形態特質を明らかにするために、日本のボランタリー・チェーンのメカニズムや現状、課題を考察し、著書の1章として著した。 さらに、鳥羽とは共同調査を行う一方で、小売企業の国際的事業展開について個別に研究を進めた。小売企業が現地適応化や進出地域での社会的責任を推進するには、現地企業や現地小売商業との協同事業が重要となるが、この点について、論文や学会発表で研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目は、研究分担者の病気療養に伴い、フランスでの現地調査の参加人員の減少があったが、おおむね順調に進捗した。それは、第1に研究実績の概要でも記したが、研究初年度に計画していたフランスでの現地調査が実行でき、コメルス・アソシエの実態把握や研究上の課題解決の貢献につなげることができたからである。 第2に、著書も含めて研究論文では、コメルス・アソシエを取り巻くフランス小売企業の最新動向や小売商業の協同事業の理解をいっそう豊富にするための小売企業の国際的事業展開に関する研究成果を論文や学会で発表することができたからである。 そして、第3に2018年度末には、東南アジアにおける協同組合流通(コープマート)の実地調査も行うことができたからである。これについては、協同組合および協同商業のアジア的な発現形態として、今後研究を深めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず2018年度に実施できなかった日本の「ボランタリーチェーン協会」へのヒアリング調査を実行し、日仏の協同商業組織の実態把握に取り組む。その成果は適宜学会や論文にて発表する。そして、ルクレールをはじめとするコメルス・アソシエ企業への現地調 査を中心に研究を進めたい。現地調査は研究メンバー全員で行う方向で調整していく。また、2018年度以前より収集した学際的な領域の先行研究内容を整理すると同時に、協同組合論や社会的連帯経済研究者とのワークショップを開催し、コメルス・アソシエ研究との接合を図っていく。その成果は適宜学会や論文にて発表する。 最終年度である3年目(平成32年度)は、再びコメルス・アソシエの全国組織であるFCAへの実地調査を行うとともに、フランスおよび英国の協同組合に対する調査を実施したい。現地調査は研究メンバー全員で行う方向で調整する。本研究の最終年度では、小売業態論研究の先行研究をいっそう精査し、コメルス・アソシエの業態的特質について明らかにしていく。その成果は適宜学会や論文にて発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の一人が入院後、2018年度においても通院療養が必要となった。そのため、2018年9月に計画していたフランスにおける現地調査に参加することが困難となった。それゆえ、その研究分担者からも研究費の次年度使用を許容されたいと申し出があった。 2019年度においては、次年度使用額と当該年度以降分の請求助成金をあわせて、研究代表者と研究分担者によるフランスにおける現地調査を計画しているが、それに加えて、アジアでの協同商業調査を企図する。さらに、協同組合関連の専門書の収集をいっそう図っていく。
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