研究課題/領域番号 |
18K01911
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸田 起大 九州大学, 経済学研究院, 教授 (70325588)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 管理会計 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、管理会計の普及プロセスの進化論的分析の対象として、病院への活動基準原価計算(ABC)の導入プロセスに関与し、介入主義的立場に立って、アクションリサーチの研究手法を用いて、研究を進めた。病院における患者別の収益性の把握にあたって、変動間接費の配賦基準として、従来は在院日数などが用いられてきたが、同じ疾患で在院日数が同じであっても、年齢、重症度、合併症、および転棟などの要因により、患者に提供される診療行為の量が異なることを明らかにした。電子カルテを通してデータベース化されている診療行為データを活用して、診療行為をアクティビティとし、資源ドライバーを設定して医療資源コストを各診療行為に跡付け、活動ドライバーを設定して診療行為コストを各患者に跡付けるABCモデルを構築した。また固定間接費については、在院日数のように応益主義的にみて合理性のない配賦基準のもとでは、赤字の患者が存在するように見せてしまう問題があったため、赤字に見える患者がいなくなるように、収益から変動費を控除した患者別の限界利益額を配賦基準とする応能主義的な限界利益比例モデルを開発した。実際の病院のデータの提供を受けて、以上のABCモデルと限界利益比例モデルを適用して、シミュレーションをおこなった。その結果を現場の医療従事者に提示してインタビュー調査をおこなったところ、原価計算システムの改良により、従来よりもコストデータの信頼性と納得性が高まったこと、また赤字に見える患者がいなくなることにより患者の切り捨てや不採算の診療行為の廃止のような意思決定への誤導を防げる可能性が高まることを確かめることができた。 また関連するテーマとして、内部監査制度が管理会計制度に与える影響について、定量的な分析をおこない、国際学会の招待講演で成果の一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リサーチサイトからのデータの確保が実現し、おおむね計画に沿って研究が進展しており、現在は、重症度を反映した重み付けを、配賦プロセスに組み込むことにより、開発した病院原価計算モデルをさらに改良し、その効果を病院の実際のデータで実証的に検証する研究に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
他の研究対象として予定しているアメーバ経営についても、すでにリサーチサイトを確保し、リサーチサイトの国内外の拠点で日本人従業員だけでなく外国人従業員へのアンケート調査の実施なども進んでおり、分析結果を学会報告や論文として公表していく予定である。
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