研究課題
本研究はNPM(新公共経営)改革として世界各国で取り組まれてきた地方政府のガバナンスとアカウンタビリティ改革が、日本においていかに受容もしくは抵抗されてきたのかを明らかにし、さらに課題先進国とも言われる日本の経験がいかに海外で活用できるのかについても検討を開始する。2022年度の当初は国内の自治体における予算編成における女性等参加、そのエージェントとしての「女性会館」の運営、また政策形成と審議会についての実態調査に取り組んだ。これはNPMの代表的な手法である参加型予算編成(PB)の一形態であり、また自治体の社会的責任やSDGsの展開として位置づけられる。関係者の想いや諸活動は共感できるが、多くの制約からその変化は遅く関係者は限定的であった。またサーベイ論文(Polzer et al. (2021)他)でも日本の事例は取り上げられておらず、その点のリサーチギャップは残る。これを踏まえて、日本における困難な経験を国際社会・海外でいかに活用できるのかという問題に取り組むこととした。これは紀谷・山形(2019)等が指摘する日本の「強み」を生かす開発援助の逆の視点である。ジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム調査)は世界的に見ても大きく、先進国の中では最低であり続けている。しかしながら日本はよりジェンダーギャップが小さい国に対しても、ジェンダーギャップを解消するための政府開発援助(ODA)を行っている。この点について、現地大学の研究者とともにインドネシア、ベトナム、カンボジアへの調査を開始したので、今後はその成果をとりまとめていきたい。
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