研究課題/領域番号 |
18K01919
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
金田 直之 学習院大学, 経済学部, 教授 (80344860)
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研究分担者 |
山下 裕企 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70256684)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 未上場企業 / 法人税 / 留保金課税 / 内部留保 / 現金保有 |
研究実績の概要 |
本研究は、留保金課税が企業の現金保有および内部留保に及ぼす影響について、日本の未上場企業のデータを用い実証的に明らかにするものである。日本では平成18年度~平成19年度にかけて中小企業への適用が段階的に除外されたという貴重な機会が存在しているので、本研究ではこれを利用して、この制度変更により内部留保等が増えたかどうか、実証的な分析を行っている。令和3年度は、完成したデータベースをもとに、税制の変化による内部留保の金額の変化について分析を行い、一定の結果を得た。内部留保の増加は資本金1千万円超かつ資本金1億円以下の企業についてより大きなものとなっている。資本金1千万円以下の企業についてはそうした結果は得られていない。これらの成果は、Asia-Pacific Management Accounting Association Annual Conferenceにて報告され、貴重な意見交換の機会を得ることができた。これに加えて、制度変更が現金保有に及ぼす影響についての分析にも着手した。ただし現時点で、これに関する十分な成果は得られていない。未上場企業の大規模データを用いて、税制が企業行動に及ぼす影響を分析した研究はほとんどなく、日本だけでなく海外でも企業の内部留保の大きさについての関心が高まっている現代において、本研究の意義は大きいと考えられる。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大等に伴い海外渡航が困難であり、海外の研究者との交流が難しい面があり、研究をさらに進展させることができなかった部分がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内部留保に関する分析を進め、海外の学会発表を行った。さらに、追加的な分析を行う予定であったが、コロナ禍や学内業務の輻輳などにより、十分な進展を見ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍や学内業務の輻輳により研究が予定どおり進展せず、追加の分析を行うことができなかった。そのため、研究期間を延長した。また、財務省より提供されている法人企業統計の個票データの使用期間延長についても承認を得た。この延長により、追加的な分析を行うと共に論文の完成をめざしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等に伴い下記のとおり補助事業期間を再度延長したため。研究のさらなる進展を行い、学会発表をめざす。そのための物品費および出張旅費として使用する予定である。
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