本研究は、留保金課税が企業の現金保有および内部留保に及ぼす影響について、日本の未上場企業のデータを用い実証的に明らかにするものである。日本では平成18年度~平成19年度にかけて中小企業への適用が段階的に除外されたという貴重な機会が存在しているので、本研究ではこれを利用して、この制度変更により内部留保や現金保有が増えたかどうか、実証的な分析を行っている。財務総合政策研究所から得た法人企業統計の個票データを用いてデータベースを作成し分析した結果、これまで税制改正後に非上場企業の内部留保や現金保有が増加していること等が明らかになっている。令和5年度は、こうした研究成果をまとめ、国際学会(International Conference of the Journal of International Accounting Research)で発表し、そこで指摘された事項の検討・修正を行った。現時点で対応できていない指摘事項もあるが、その修正が終わり次第、海外ジャーナルへ投稿する予定である。
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