研究課題/領域番号 |
18K01920
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
塘 誠 成城大学, 経済学部, 教授 (80320042)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 管理会計 / 海外子会社 / インタビュー調査 / 業績管理 |
研究実績の概要 |
<研究内容>本研究の目的は、日系グローバル企業における業績管理システムについて研究する。特に、多様な価値観をもった海外人材を企業グループに取り込むことで多様な人材の業績評価を行うために必要な、財務会計、税務会計目的と異なる「財管分離」の業績管理システムを明らかにすることである。 この研究目的に即して、2018年度は中米における日系子会社の実態を明らかにするために、メキシコのグアダラハラ大学の教授とインタビュー調査を行った。アグアスカリエンテスで3社、サカテカスで1社、グアダラハラで3社の計7社の日系企業を対象とした。そこでは、シェルターカンパニーというIMEXを利用している企業向けのアウトソージング企業を利用している企業での業績管理上の問題点が明らかになった。また、現地子会社では、日本の本社工場と比べきめ細かい業績管理を行っている事例も見られた。 さらに中国・大連でもインタビュー調査を行った。ここでは、中国現地企業ならびに日系子会社の計6社を対象に行った。そこでは、日本の理念を踏襲しつつ現地の経営風土に即した業績管理システムを現地で開発するなど異文化融合した経営実態の知見を得ることができた。 これらを通じて、作業仮説を裏付ける事例を発見できた点にインタビュー調査の意義があったと考えられる。 <成果報告>日本管理会計学会2018年度全国大会統一論題「企業グループの管理会計」にて「異文化マネジメントと管理会計上の課題-純粋持株会社,日系海外子会社の事例研究から-」の学会発表を行った。また、学会発表内容を学会誌『管理会計学』27巻2号(2019.3) pp.13-26にて、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、研究実施計画に沿ってメキシコに進出している日系企業のインタビュー調査を実施した。これに加えて、中国・大連にて現地企業及び日系企業のインタビュー調査を行った。研究実施計画では、日本本社でも実態調査を行うことになっている。これについては、未実施である。また、日本管理会計学会の全国大会で学会報告を行い、それを論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度も引き続き海外にある日系企業の現地調査を行う。特に、北米で現地企業を合併・買収した企業を中心に調査を行う。M&A後、それが業績管理システムに与えた影響を調査する。このほか、現地に非M&Aで進出している日系企業の調査も行い比較検討する。可能ならば、2020年度にかけて、企業グループ内の複数の現地法人に対する質問票調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
メキシコ出張は、本年度は、研究協定校であるグアダラハラ大学との交流のための旅費が成城大学経済研究所より支弁された。これにあわせて、現地インタビュー調査を行ったため計画していた旅費の支出がなかった。 2019年度は、研究実施計画の北米に加え、欧州調査を追加して行うことを計画中である。2018年度から繰り越した金額は、この欧州調査の旅費等にあてる予定である。
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