本研究の目的は、ベンフォードの法則を用いて日本企業の財務諸表のエラーを測定し、それに影響を与える要因を明らかにすることである。そのために、ベンフォードの法則で示されている数字の出現頻度の理論値と財務諸表上の数字の実際の出現頻度との間の距離で財務諸表エラーを測定した。30年を超える長期間の分析から、日本企業は平均的にベンフォードの法則に従って財務諸表を作成しているが、それにはエラーも含まれていることがわかった。また財務諸表のエラーには、企業の規模や収益性および支配構造が影響している可能性が示された。さらに、財務諸表のエラーは会計ビッグバンを前後で変化している傾向も観測された。
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