研究課題/領域番号 |
18K01925
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
付 馨 京都先端科学大学, 経済経営学部, 准教授 (80551051)
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研究分担者 |
古賀 智敏 東海学園大学, 経営学部, 教授 (70153509)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 投資意思決定有用性 / Covid-19 / 財務情報と非財務情報の相互補完 / 統合的思考 / 健康関連情報 |
研究実績の概要 |
2020年度において、国際統合報告評議会(IIRC)の最新動向を調べ、コロナ禍が統合報告書に与える影響を検討し、神戸CSR研究会で発表した。 従来、統合報告書の主要な利用者は財務資本提供者か、すべてのステークホルダーかの議論が行われてきたが、IIRCが2021年1月公表された「統合報告フレームワーク(改訂案)」では統合報告書の主要な利用者を「財務資本提供者」のままにしており、統合報告書の投資意思決定有用性に対する認識が変わっていないと言える。「統合報告フレームワーク(改定案)」はほかにも大きな変更がなく、補足説明の追加や定義の見直しを中心に、明確さ、簡潔性、質という3つの視点から改訂された。 Covid-19の影響で財務情報と非財務情報の相互補完作用が一層認識され、統合的思考の重要性がより認識されてきた。パンデミックが世界のビジネスをより多様化に変化させ、多様な資本に基づいた考えに対するニーズが以前にもまして緊急となった(IIRC, 2020)。CRD (Corporate Reporting Dialogue)会長Ian Mackintosh(2020)は、財務情報と非財務情報のリンクをより強め、一緒に考えることこそが、価値創造と企業の枠を超えた影響の全体像を見えさせるための手段であると指摘している。 コロナ禍の影響で、企業の統合報告書において企業の多様な資本に関する情報を提供する際に、健康関連情報やパンデミック関連情報をより意識しなればならない。Dr Cornelis T. Van Der Lugt(2020)は、IIRCの「統合報告フレームワーク」に提示されている6つの企業資本に関する情報について具体的に例示し、統合報告書において健康製品・技術への貢献や、自然資源の保全、コロナ禍の被害に対応するためのリスクマネジメントなどの情報を提供する必要性があると指摘している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、予定した調査出張ができず、予想の調査結果が得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は文献研究と統合報告書のデータに基づき、統合報告書が投資家意思決定との関連性を統計的に検証する。コロナ禍の関係で実施できない調査出張を投資家へのアンケート調査などの代替的な方法に変えることを検討し、研究を完成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために予定した調査出張ができず、予算実行ができなかった。2021年度に代替的な方法などを行い、研究を完成する予定です。
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