研究課題/領域番号 |
18K01925
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
付 馨 京都先端科学大学, 経済経営学部, 准教授 (80551051)
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研究分担者 |
古賀 智敏 東海学園大学, 経営学部, 教授 (70153509)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 知的資本 / 非財務情報 / 認識・測定 / 報告・開示 |
研究実績の概要 |
2021年6月に、国際統合報告評議会(IIRC)とサステナビリティ会計基準審議会(SASB)は、合併してValue Reporting Foundation(VRF)を設立したことを正式に発表した。それに引き続き、IFRS財団は2021年11月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設立し、さらに2022年6月までに、VRF(Value Reporting Foundation)、CDSB(気候変動開示基準委員会、CDPが事務局を務める)をISSBに統合することも公表した。 これらの一連の基準作成機関の再編整備は、長期的な価値創造をより完全に把握し、比較可能で一貫性があり、信頼性の高い情報に対する投資家その他の資本市場参加者の高まる情報ニーズに応え、サスティナビリティ関連情報の提供とそれに基づいた意思決定支援のための開示基準の包括的な国際的なベースラインを提供するという意図が伺える。 これらの開示基準の設定機関をめぐる動きの背後にある経済的背景や企業要因として、知的資本が考えられる。その重要性については研究者の間ではいかに捉えられているのだろうかを解明すべく、2021年において知的資本を含む非財務情報に関する制度的動向及び理論的観点を概説し、特に知的資本に関する研究を中心に公表するグローバルな学術雑誌を対象として、およそ過去20年における公表論文を調査し、その間の研究者の知的資本に対する見方の変遷を明らかにした。結果として、主に知的資本に対する研究者の中心的関心は,認識・測定から報告・開示へと変遷が見られ、特に近年は知的資本開示に関する研究への関心が高まっており、「開示」に関する研究は注目が集まっており、論文数の増加幅も大きい。少なくとも研究者の関心が認識・測定から報告・開示に近年シフトしていることを示し、関連する今後の制度設計にも示唆を与えようとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの関係で予定された海外調査や会合が実行できず、研究は文献研究や資料研究を中心に展開しているが、昨年は統合報告の背後にある要因である知的資本に関する研究者の関心について研究を行い、学会発表と査読付き論文の投稿をした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は文献研究と統合報告書のデータに基づき、統合報告書が投資家意思決定との関連性を統計的にさらに検証する。コロナ禍の関係で実施できなかった調査出張を投資家へのアンケート調査などの代替的な方法に変えることを検討する。また、昨年の研究成果を改善し英語ジャーナルに投稿することを予定している。
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