研究課題/領域番号 |
18K01927
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
浅田 拓史 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (30580823)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 管理会計変化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、管理会計の変化を引き起こす組織的行動パターン(ルーティン)とはどのようなものかについて明らかにすることである。本年度は、かかる目的を達成するために、必要な経験的データの収集のため訪問インタビュー調査や参与観察を重点的に実施した。リサーチサイトの事情や昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一部の予定していた調査が延期となっているものの、一定程度の調査を実施することができた。 研究成果の一部は、12th European Network for Research in Organisational and Accounting Change Conferenceおよび日本管理会計学会全国大会の統一論題報告において報告するとともに、学会誌『管理会計学』に掲載した。そこでは、自律創造型コントロールを生成するために必要な経営者と従業員のそれぞれの視点から見た透明性を生み出すうえで、会計担当者が情報の翻訳者としての役割だけではなく、現場マネジャーに上方の使い方を教育する教育者としての役割や、より使い勝手の良い情報を提供するようなコントロール・システムの開発者としての役割が重要となることを論じた。 また、このほかにも日本原価計算研究学会において報告を行い、学会誌『原価計算研究』に掲載が決定した。そこでは、アメーバ経営の導入後に生じる停滞をどのように克服し得るかを株式会社マルト水谷の事例をもとに考察した。事例では停滞現象は、月次部門別採算管理が適切に機能した結果、コントロール要素間の成熟度にアンバランスが生じたことが原因であった。全体のコントロール・システムの中での要素間のバランスが、管理会計の機能性に影響を与えており、管理会計の変化を引き起こすルーティンの形成について考察するうえでも、管理会計以外の組織能力に着目することの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リサーチサイトの事情や昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一部の予定していた調査が延期となっており、今後も調査の遅延が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響が見通せないことから、フィールド調査については当面延期とせざるを得ない。これまでに得られたデータをもとに可能な範囲で研究を推進するため、研究の方向性等を再検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
リサーチサイトの事情や新型コロナウイルスの影響により、予定していた調査に遅延が生じていることが主な理由である。
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