わが国企業の研究開発投資が業績に結びつかない原因の一つとして、組織の境界を越えて知識や情報を活用するオープンイノベーションの導入の遅れが指摘されている。導入に際して、外部組織との費用分担、収益分配、予算管理や意思決定など会計学的知見をもって解決すべき課題が多いものの、オープンイノベーションを想定した研究開発をテーマとする会計学領域の研究は進んでいない。本研究は地域のオープンイノベーションを推進するコンソーシアムとそこに参加する組織の観察から、収益分配の公平感がオープンイノベーションの定着に重要な役割を担う可能性を指摘し、今後の実証研究に供される分析枠組みを提示した。
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