本研究は、(財務報告を市場に対し行う)企業の経営者らによる会計基準の選択・適用の際における動機と、その影響(①財務報告の質への影響および②市場に対する経済的影響)について、理論的・実証的に分析を行おうとするものである。具体的には、、日本企業の国際財務報告基準(IFRS)の任意適用という財務報告上のイベントにおける経営者らの動機に焦点を絞り、(1)心理学等の理論を援用し、財務報告を行う主体(企業(経営者ら))における当該行為に対する動機と行動パターンを理論的に識別・分析および実証的捕捉を行い、(2)当該動機の内容の詳細によって、IFRSの任意適用がもたらす財務報告の質への影響および市場への経済的影響を実証的に検証する。2020年度において、前年度に引き続き、特に、価値関連性という視点から、企業の経営者らによる会計基準の選択・適用の際における動機とその影響を分析している。また、合わせて、理論的な検討も進めている。より具体的には、先行研究を読み進み、心理学等の理論について、確認するとともに、体系化する作業が行われている。また、「日本市場のIFRS適用企業 v.s. IFRS適用企業との企業特性が類似しているがIFRs適用をしていない企業」の実証分析を行っている。研究実績については、【研究成果】欄を確認されたい。英文の論文が2つを公刊し、そして、国際学会で発表1つあった。特に英文の論文は、ランクの高い雑誌であり、SSCI(Social Sciences Citation Index)雑誌論文である。
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