研究課題
基盤研究(C)
本研究の核心をなす「問い」、それは利益とは何であり、如何に測定すべきかであり、具体的には、経済理論に基礎づけられた、新たな操作性ある利益概念を構築することである。現代ファイナンス理論の観点に立てば、投資主体の目的は、多期間フロー流列の最適化であって、一時点でのストック価値最大化ではない。本研究では、こうした観点と整合的な利益概念の構築を進め、無リスクフロー流列をベンチマークとして、変動する割引率の下、多期間フロー流列最適化と整合的かつ操作性ある利益概念構築が理論的に可能であることを示した。
社会科学
利益概念を検討する際にあたって、従来のもっぱら会計概念間の整合性を念頭に置いた基礎研究とは異なる、動学的最適化の観点から、会計情報の利用者である投資家の観点に立ち、フロー流列のストックに対する概念的先行性を示した。会計基準設定において、収益費用アプローチと資産負債アプローチが対比される。本研究は前者の後者に対する優位性を示すことで、基準設定のあり方に一定の方向性を示唆している。