研究実績の概要 |
本研究の目的は、 企業情報開示の枠組みである統合報告に着目し、その非財務情報の質的特性とその情報利用者に対する効果を明らかにし、統合報告実務の実態と在り方を学術的観点から検討・評価することである。研究期間の第2年度にあたる本年度も、第1年度から継続して統合報告の制度と実務を幅広く観察すると共に、次年度以降に実施を予定している非財務情報の質を分析・評価する視点や枠組みを検討した。これにあたり、令和元年(2019年)8月には米国会計学会における最新の研究動向を調査し、米国における研究者より日本企業における会計実務の相対的な特性や研究機会について議論を行った。 また、本研究の対象は統合報告実務における非財務情報であるが、そこで用いられる用語の特性について理解を深めるために、本年度では会計用語の起源特定化のための分析枠組みについても検討した。また、その分析枠組みに基づいて、統合報告実務において高い頻度で用いられる用語について、その起源と使用法の変遷に関する歴史的な分析を行った。ただし、当該用語が現在の統合報告実務でどのように用いられているかに関する分析は、次年度以降の課題である。これらの成果は以下の論文、および学会報告においてまとめている。 川島健司「会計用語の起源特定化のための分析枠組み」『経営志林』第56巻, 第2号, 2019年, pp.1-11 川島健司「収益用語論ー「収益」という用語は、いつから、どのように使われてきたか」日本会計研究学会, 第78回大会, 自由論題報告集, 2019年9月3日, 神戸学院大学.
|