研究課題/領域番号 |
18K01945
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
諸藤 裕美 立教大学, 経済学部, 教授 (20335574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 創造性 / マネジメント・コントロール / 原価企画 / トヨタ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、創造性と連携を促進するために原価企画システムはどのように設計・運用されるべきかを明らかにすることである。その目的のために、本年度は以下の活動を行った。 第一に、近年盛んになっている創造性のためのマネジメント・コントロールに関する管理会計学領域の海外の研究をサーベイし、研究の動向を確認した。初期は、インセンティブ・システムに着目して研究がなされていたが、その後、インセンティブ・システム以外の要素も含めたパッケージとしてのマネジメント・コントロール・システムに関する研究、創造性アウトプットの調整や企業にとって望ましい方向性に着目した研究、さらには創造性の多様性に着目した研究がなされるようになったことが明らかとなった。また、それらの研究は海外企業・海外の学生を対象として実証研究・実験がなされているが、日本企業においてはマネジメント・コントロール・システムがどのように設計されるべきかという問題を設定し、Adler and Chen (2011)で言及されている文化心理学の研究について、日本人の特徴を論じた研究を中心により広くサーベイし、そこから得た知見と長年文献・インタビュー調査を行ってきたトヨタの事例をもとに考察を行った。この研究成果について学会報告を行った。 第二に、時間的プレッシャーやタスクの過負荷と創造性との関係の既存研究をサーベイし、どのような場合にそれらプレッシャーが創造性を抑制或いは促進するのかについての知見を得た。そして、それらプレッシャーが創造性を抑制する状況下において、原価企画システムをいかに設計・運用していくべきか、そして、企業でどのように実現されているのかについて理論的考察と事例分析を行った。この研究成果については、2本(うち1本はトヨタ以外の事例を含めて分析を行った)の論文執筆と1本の国際学会報告ペーパーの執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
創造性を抑制或いは促進する要因に関する複数領域の文献サーベイを順調に進めている。その知見と過去に研究代表者が行ったトヨタの歴史研究・インタビュー調査によって得ていた知見とを結びつけることにより、国内学会報告、公表論文、国際学会報告ペーパーといった複数の成果を公表することができた。また、トヨタ以外の企業の原価企画の事例について情報収集を行っている過程である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、日本企業における創造性と連携のためのマネジメント・コントロール・システムへの含意を示す作業の過程で、日本人の特徴について論じた文化心理学の研究をサーベイし、従来の日本人論への妥当性を問う研究も確認してきた。但し、日本人の特徴の変容や、人の特質の国際間比較に関する研究のサーベイを追加的に行うことにより、日本企業のマネジメント・コントロール・システムに対しより妥当な分析・提言を行うことが可能になると考える。 また、目標のタイトネスに対する創造性への効果について、正の効果があるとする研究結果と負の効果があるとする研究結果とが存在する。それらについて、他のコンテクスト(マネジメント・コントロール・システムの他の構成要素や国民文化等)との関係も視野に入れて既存研究の整理を行い、マネジメント・コントロール・システム分析に用いたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初次年度以降に執筆する予定であった国際学会報告用論文執筆が本年度可能となったことから、それを前倒しにし、そこでのコメントも踏まえ、初年度行う予定であったインタビュー調査を2年目に行うこととした。次年度使用額は、国際学会報告用旅費やインタビュー調査旅費に使う必要がある。
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