研究課題/領域番号 |
18K01950
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
古賀 智敏 東海学園大学, 経営学部, 教授 (70153509)
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研究分担者 |
付 馨 京都学園大学, 経済経営学部, 准教授 (80551051)
姚 俊 明治大学, 商学部, 専任准教授 (00610932)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 事業性評価 / 無形財 / 非財務項目 / 金融機関の融資決定 / 利益獲得能力指数 / ローカルベンチマーク |
研究実績の概要 |
第1年度(平成30年度)では、第1課題「無形財情報と事業性評価判断に関する理論的フレームワークの画定」に関して、事業性評価の意義とその背景を官公庁の報告書を参考に文献レビューすることによって、まず事業性評価の主たる課題が無形財としてのインタンジブルズないし非財務項目をいかに把握し、評価・測定するかにあることを浮き彫りにする。それを受けて、第2年度「金融機関の事業性評価融資に関する調査・分析」では、大阪商工信金等のヒアリング調査、及び過年度に行われた金融機関を対象としたアンケート調査結果を参考に、事業性評価に強く関連性を有すると考えられる非財務項目を抽出し、それを体系化しようとした。さらに、第3課題「事業性評価モデルの構築と金融機関の融資決定への適用可能性」を解明するために、事業性評価に関する関連研究として、ドイツの利益獲得能力指数及びわが国経産省のローカルベンチマークに関する文献研究を行い、その特徴と限界を明らかにするように努めた。その結果、ドイツモデルの短・中・長期の時間軸に即して企業の利益獲得能力を評価するための財務・非財務項目を統合化するアプローチはわが国での事業性評価モデルの設定にも有用であること、また、ローカルベンチマーク方式で用いられる経産省方式も対話ツールとして有用であることが確認されるが、日本の土壌に即した中堅・中小企業の事業性評価方式としては、限界を有することが指摘される。これらの研究成果を踏まえて、オペレーショナルな事業性評価方式を構築し、金融機関の融資決定に適用するのが、第2年度(平成31年度・令和元年)の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果を実効性あるものとするために、最終研究報告書を予定してまず本研究代表者による単独刊行を予定している。そのため、研究の進捗状況についても、厳格に自己評価・管理しつつ進めるようにしてきた。また、本研究分担者との研究会合を頻繁に行うことによって、研究の進捗度に留意して研究活動を行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
以上、第1年度の研究成果を踏まえて、第2年度では、事業性評価の日本版方式を完成し、その有効性と信頼性について地銀・信金の融資担当者を対象として、それを実際に適用することによって実験研究を行う予定である。その結果を緻密に討議・分析して、日本版事業性評価モデルを完成させ、公表することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1年度研究補助金の次年度使用が生じた主たる理由は、当初、予定していた地方銀行・信用金庫等に対して、融資判断における重要な非財務情報項目のアンケート調査を行う予定であった。しかし、最新の論文等においても平成20年10月に行ったアンケート調査結果とは大きな差異がみられないことから、第1年度での調査は行わなかった。その費用分が次年度先送りとなった。当該補助金については、第2年度においては、実験研究やヒアリング調査の強化を図りたい。
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