研究課題/領域番号 |
18K01950
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
古賀 智敏 東海学園大学, 経営学部, 教授 (70153509)
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研究分担者 |
付 馨 京都先端科学大学, 経済経営学部, 准教授 (80551051)
姚 俊 明治大学, 商学部, 専任准教授 (00610932)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 事業性評価 / 知的資産 / イノベーション / 金融機関の融資決定 / 特許権の評価 / 事業性評価の計量的モデル |
研究実績の概要 |
科研補助金による研究の第2年度(令和元年4月~令和2年3月)では、事業性評価の意義とその背景を金融庁や経済産業省などの官公庁の報告書を体系的にレビューすることによって、事業性評価が無形価値としての知的資産ないしインタンギブルズと密接に関係することを明らかにした。 これまでの官公庁の「事業性評価」の議論では、即戦力・実務家指向の技術論が主体であり、事業性評価問題とインタンジブル資産(知的資産)およびイノベーションとの隣接関連領域との関係が不明確であった。このような問題意識のもとで、本研究では、事業性評価のコア概念としての知的資産、イノベーション、事業性評価を三位一体関係のもとで位置づけ、それを本研究の理論的フレームワークとする点に特徴を持たせるようにした。 それを受けて、知的資産がとくに中小企業のイノベーションに不可欠であることを関連文献レビューによって明らかにした。これらの知的資産をマネジメントするためには、知的資産を定量的に評価することが必要となるので、その代表例として特許権、ソフトウェア、人材、マーケテイング能力などの評価方法を検討した。 第2年度において、事業性評価モデル構築の予備段階として、Wulf,Pfeifer,Ko-vikas(2009)の「利益獲得能力指数モデル」を取り上げ、本科研研究のモデル構築の参考資料として活用している点である。とくに「短期(財務)」「中期(市場性)」及び「長期(経営力・イノベーション力)」の時間軸の概念を非財務指標の選択・分類に導入する点は、従来のわが国の議論の中では、明示されてきていなかっただけに、本研究の一つの視点を提供するものと考える。 さらに、事業性評価の計量的モデルをKIvikasモデルを参考に共同開発を行い、商標権を登録した。これらの成果は、拙著「企業成長のデザイン経営」同文舘出版、2020年4月に刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究課題に関して、単行本として出版し、世に問うことにより、ほぼ80パーセントの進捗状況にある。しかし、2年目までの研究では、企業の成長力評価モデル、KSTモデルを実際の場で適用するには至っておらず、その適用と成果の分析が3面目の大きな課題となっている。これを踏まえて、KSTのオリジナルモデルの修正・改善を図り、制度として広く適用され、中小企業の事業性評価の定性的モデルとして確立できるよう努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、この定性的評価モデルの有効性を実際の活用データを用いて、検証することである。上記「現在までの進捗状況」を参照ください。
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次年度使用額が生じた理由 |
台風や、コロナウイルスの影響で、予定した学会等の出張がキャンセルされたため。
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