本研究中、ある脚本家が「わたしが認知症になったり介護が必要になったら安楽死を」という文章を発表した。その発表後、その意見に賛同する人が多くあらわれた。その意見には、「本人には意思がない」という偏見が根強くみられていた。そこで、「本人には意思がない」という偏見が強まることや、本人中心アプローチのケアのあり方が変わってしまうことへの危惧から、「認知症」とされた人たちに対する「安楽死」を求める思潮が強まることに対し疑問を提示した。また、本研究中に政府が「認知症予防」重視の対策を出した。この「予防重視の方針」では、「認知症」とされた人が「予防に失敗した落伍者」になりかねないと、批判的な検討を加えた。
|