研究課題/領域番号 |
18K01959
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬地山 角 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80250398)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 東アジア / 高齢者 / 労働 / 女性労働 / 少子高齢社会 |
研究実績の概要 |
周知の通りコロナ禍で調査地への渡航ができず、日本で手に入る文献調査以外の研究はできなかった。したがって今年度は一切予算を使用していない。 もちろん研究をサボっていたわけではなく、オンライン環境で可能な範囲の研究を行った。12月に韓国の翰林大学でオンラインの講演をし、現地の研究者と意見交換を行うことができたのが、ひとつの収穫だった。韓国における高齢者の労働や若年層の労働観について理解を深めることができた。特に高齢者の労働が若年層の失業を高めるのではないかという論点については、東アジアの諸社会で捉え方にかなりの温度差がある。講演では学生などとディスカッションをすることができ、日本と異なって韓国の場合は、高齢者の就労は若年の失業につながるという懸念が大変強いことを実感することができた。これは今後研究を進めていく上で、日本と大きな違いとなる論点になると考えている。 また2019年度までの現地調査による資料収集に基づいて、今後の見取り図になるような大枠の論文を執筆した。「東アジアの少子高齢社会における高齢者労働の比較研究-外国人・女性・高齢者の労働力化の違いに着目しながら」『比較家族史研究』第35号、比較家族史学会、2020、である。 東アジアは等しく少子高齢社会に直面しているが、労働力を増やす手段は、外国人・女性・高齢者しかない。2019年の中国での研究発表をベースにしながら、日本、中華文化圏(中国・台湾)、韓国で、いかにその選択肢の優先順位が異なっているかを論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍によって調査地に渡航できないことは、致命的な研究の遅滞を引き起こしており、現在の状況を見ても最終年度となるはずの2021年度にプロジェクトを達成することはほぼ不可能となった。地域研究に不可欠なフィールドワーク抜きに研究を進めるのは不可能であるため、コロナ禍の収束を待って、作業を再開する形にならざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度はまったく現地への渡航ができなかったが、2021年度においてもいつ頃から現地への渡航が可能となるか、現時点では見通すことができない状況にある。日本で行える範囲の文献調査は続けていくが、最終的には渡航ができるようになってから、本格的な研究を再開することとせざるを得ないと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で一切海外渡航ができず、現地調査が不可能であるため、予算を使用することができなかった。この状況は自由に海外渡航ができるようになるまで続くものと考えられる。日本でできる範囲の研究はもちろん続けるが、現地調査なしで研究を終えることはできないので、何らかの形で期間の延長をすることが不可欠だと思われる。
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