研究課題/領域番号 |
18K01959
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬地山 角 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80250398)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東アジア / 高齢者 / 労働 / 女性労働 / 少子高齢社会 |
研究実績の概要 |
コロナ禍によって海外渡航が事実上不可能となり、現地調査を行うことができない状況が続いており、研究の進捗に大きな支障をきたしている。特に中国についてはオンラインで入手できる、統計を含めたさまざまな資料の環境が十分に整備されていないため、現地に行かないと把握できないことが多い。いくつかの大学で客員教授となって月単位で滞在する予定であったが、すべて不可能となってしまった。「東アジアの少子高齢社会における高齢者労働の比較研究――外国人・女性・高齢者の労働力化の違いに着目しながら」『比較家族史研究』第35号 比較家族史学会、2021 は、コロナ前に中国や台湾に渡航した際に得られたディスカッションや文献、データなどを通じた知見をまとめたものであるが、これがほぼ唯一活字にできたものとなってしまった。 台湾でも韓国でも出生率の急激な低下が進んでおり、また中国では第2子までの出生制限も撤廃されたが、出生率が急上昇する気配はなく、いずれの国でも図書の予想をさらに上回るスピードでの人口の高齢化が進むことが予想される。そしてコロナ禍は国境を越える人の移動が、突然長期間にわたって制限されるという研究の当初にあっては想像もしなかった事態をもたらした。これらのことから、新たな労働力の供給源は女性と高齢者に限られる局面が登場し、女性の労働力率の比較的高い中華文化圏にあっては、高齢者の就労が一層重要になってくると考えられ、そうした点を提起できたのは数少ない成果のひとつであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍によって海外渡航のできない状況が2年間続いてしまい、議論をするための基礎的な資料などが集められていない状況である。特に中国については、情報統制下厳しいために、ネットで検索できる情報は当局に都合のよいものしかなく、ネット上の情報だけに頼ることはできない。このため充分な比較研究ができない状況となってしまっている。現場を見ない地域研究というのはあり得ず、かつ中国の門戸開放がいつになるのかが見通せず、憂慮していている。
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今後の研究の推進方策 |
22年度中に現地に行ける社会があれば、そこでの資料収集などをする予定である。韓国は可能となるかも知れない。台湾ももし入境が可能となれば検討したい。一番悩ましいのが中国で、散発的なロックダウンが各都市で行われており、現地調査の予定を立てることもできない状況にある。最終年度であるが、このままでは充分な成果にならない可能性が高く、研究費の延長も検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって海外渡航ができないため、現地調査に関わる予算が執行できない。今後研究対象となる社会の入国管理の状況を見ながらなるべく早く研究を再開できるようにしたい。
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