研究課題/領域番号 |
18K01959
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬地山 角 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80250398)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 東アジア / 高齢者 / 労働 / 女性労働 / 少子高齢社会 |
研究実績の概要 |
2022年度もコロナ禍の影響で、基本的に渡航をともなう研究を進めることができなかった。欧米では人の行き来が戻りつつあるが、本研究が対象とする北東アジア、特に中国では年度内に往来が回復しなかった。 その分、中国との関係では山東大学の研究者とこちらの研究を中国で発表するための準備を行い、以前書いた論文・書籍の中国語訳の確認作業などを行った。これについては一定の進展があり、中国語でも潜在的には公刊できるレベルの原稿にもなったが、ただ検閲や思想統制の関係から、特に台湾の扱い方について政治的に敏感な問題であるため、オンラインやメールなどで意思疎通を図ることはできず、比較研究の軸となる部分について中国での議論を充分に進めることができるところまで達していない。この点については渡航して議論をしない限り、中国側の研究者が本当に思っていることを聞き取ることは不可能だと思われる。 韓国についても渡航ができなかったため、大きな調査上の進展はなかったが、翰林大学の研究者と交流する機会を得て、私の論文・書籍の韓国語訳を進めると同時に先方での研究発表の機会について、検討するところまではたどり着いた。 台湾に関しては統計データの更新に留まっており、来年度以降に再度現地での調査ができるか検討する予定である。 日本の高齢者の就労パターンについては、江戸期の農村での就労などについての文献に当たることになり、一定程度の成果は得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響でまる3年間一切現地への渡航ができず、研究を進めることができなかった。オンラインでの発表等はもちろん行ったが、中国の場合、政治的に「敏感」とされるテーマについては、オンラインや文字に残るような形での交流は相手方を危機に陥れる可能性があるため、大変神経を使わざるを得ず、結果として意味のある意見交換ができなかった。したがって中国での現地調査がほとんどできていない状態となっている。そのほか現時点で韓国・台湾についても2020年以降やはり現地での調査ができていない。文献調査やデータの更新は随時行ってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度より、徐々に現地に行くことができるようになるので、3年間のブランクを2年程度で埋められるようにして、成果につなげていきたい。まずは山東大学との交流を進め、さらに韓国・翰林大学、台湾の中央研究院などとも連絡を取りながら、研究交流を進め、研究上の抜けていたピースを埋めていくようにしたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現地での調査が行えなかったために、海外に行くための渡航費を執行することができず、大幅に残額が出ることとなった。
|