研究課題/領域番号 |
18K01960
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
杉原 名穂子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (00251687)
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研究分担者 |
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
喜多 加実代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30272743)
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
千田 有紀 武蔵大学, 社会学部, 教授 (70323730)
村尾 祐美子 東洋大学, 社会学部, 准教授 (20408959)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジェンダー / 個人化社会 / 公共圏 / 親密圏 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
本研究は日本社会で1990年代以降個人化が進行しているという認識のもと、それが人々の意識にどのような影響を与えているのか、特に公共圏と親密圏での他者認識、関係性の現状を特にジェンダーの観点から調査し、世代別・年代別に分析を行うことを目的とするものである。2019年10月に、東京都と新潟市の25歳から64歳までの男女4069人を対象に郵送による質問紙調査を実施した。有効回収数および有効回収率は974票(24.2%)である。 分析の結果、他者への寛容性はZ.バウマンの学説と異なり若い世代で増大していることがわかった。特に若年層の男性においてこの傾向が強い。ただしこの寛容性は格差問題にはあてはまるがジェンダー問題にはあてはまらない。ジェンダー平等意識については年齢と逆相関しており、いわゆる性役割意識を若い年代は支持しなくなっている。にもかかわらず社会問題としての男女格差問題については、寛容な若い男性は女性問題に共感を示すというより、無関心層の増大として姿をあらわしている。ジェンダー問題については相変わらず年代差よりも男女差で意識の違いが大きい。ただし、親密圏に関する意識は男女とも若い世代で寛容性が増大している。特にLGBTをめぐる問題に顕著にみられる。 バウマンの学説は女性には一部あてはまる。女性では若い年代ほど政治意識の保守化がおきており、若い年代に革新派が多い男性とは逆の傾向を示している。女性の保守思想の高まりは自己責任意識の高まりと関係がみられる。また、若い世代では寛容性と権威主義が強い相関を示している。これはU.ベックが個人化社会の特徴として、自由の増大と新たな統制への再統合という相反する2つの傾向を示したことを思い起こさせるが、果たして権威主義と寛容性が日本社会における社会問題や弱者への共感性にどのように関連するかさらに検討を加える必要がある。
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