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2018 年度 実施状況報告書

被災者はなぜ罪悪感を抱くのか?―避難の困難さと社会的承認に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01963
研究機関山口大学

研究代表者

高橋 征仁  山口大学, 人文学部, 教授 (60260676)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード生存者罪悪感 / 原発事故 / 社会的承認 / 沈黙のらせん
研究実績の概要

本研究の目的は、東日本大震災の被災者にみられる罪悪感について、その社会的背景と変容プロセスを実証的に明らかにし、社会的承認による罪悪感の克服の道を探ることにある。
本研究では、まず、こうした被災者の罪悪感の成り立ちについて、①原初的な共同性の反映、②社会的交換における不均衡、③否定的な世論の内面化という3つの水準から分析し、それぞれの特質と関連性を明らかにしていく。そして次に、それぞれの水準の罪悪感に対して、社会的承認がどのような影響を与えるのか、検討を行うこととした。
平成30年度の研究においては、これまでの先行研究の知見を整理するとともに、①原初的な共同性の反映(社会心理学的視点)、②社会的交換における不均衡(贈与論的視点)、③否定的な世論の内面化(メディア論的視点)という3つの分析水準の妥当性について検討を行った。こうした生存者罪悪感の3水準は、原爆や公害病の被害者にも共通してみられることを確認した。ただし、①の原初的な共同性に関しては、DNAの複製戦略とムラの共同利害としての「沈黙」という観点が重要であると考えた。
また、避難行動や避難生活についてのインフォーマント調査を行った。北海道、仙台、福島、東京、大阪、岡山、沖縄などの避難者団体のリーダーにインタビューして、避難行動や避難生活をめぐる心理的ストレスの源泉について、情報収集を行った。
さらに、東日本大震災に関する人々の忘却や無関心、被災者たたきの実態を明らかにするために、WEB調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

インタビュー調査において、予定していたよりもかなり濃密な情報が得られた。様々な人間関係や心理状態の歪みの中心には、「沈黙」があり、それが問題を一層深刻にしていることが分かった。
また、東日本大震災をめぐる人々の忘却や無関心、バッシングなどについて、計量的な予備調査を実施することができた。

今後の研究の推進方策

予定通り、東日本大震災の避難経験者に対する調査票調査を実施する。また、東日本大震災をめぐる忘却や無関心のあり方を明らかにするために、全国調査を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] なぜ、避難者たちは沈黙するのか?2019

    • 著者名/発表者名
      高橋征仁
    • 学会等名
      山口県避難移住者の会
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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