研究課題/領域番号 |
18K01964
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
玉里 恵美子 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (40268165)
|
研究分担者 |
大崎 優 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 講師 (80784420)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 集落活動センター / 小さな拠点 / 若者の地域志向 |
研究実績の概要 |
2018~2020年度科学研究費「集落活動センターを中心とした雇用創出と若者の地方定着」研究の一環として、2019年度は若者の地域志向に関わる価値観を明らかにするためのアンケート調査を実施した。調査対象は高知大学の学生で、調査方法はスマートフォンでQRコードを読み取るウェブアンケートを実施した。アンケートはMicrosoft社のOffice365 Formsを用いた。調査期間は2019年9月25日から11月15日までとし、期間中に353件の回答を得た。 アンケートでは、景観評価等に利用される写真評価法を援用した。具体的には、質問項目中に「田舎」「地方都市」「都会」を連想させる写真を掲示し、その写真の地域に対して共感できるかどうかを5段階評価してもらった。 本調査を通じて得た結論としては次の二点があげられる。一つ目は、「田舎」、「地方都市」、「都会」の比較から、高知大学生は「地方都市」が最も生活や仕事を行う「場」として共感度が高いということである。実際には「都会」に流出する若者が多いが、意識レベルでは必ずしも「都会」に共感しているわけではなく、「田舎」や「地方都市」を志向していることが明らかになった。二つ目は、「田舎」に対するイメージが、必ずしもネガティブ一辺倒ではないことである。自然への肯定的な意識はもとより、「面白そう」や「豊か」と評価しており、田舎への志向性と可能性が見えてきた。 以上の研究は、大崎優・玉里恵美子(2020)「若者の『地域志向』に関する一考察―高知大学生の地域に対するイメージ調査から―」『Collaboration』10に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画通り、2019年度は若者に焦点をあて、若者の地域志向性についてアンケート調査を行ったことから、おおむね順調に進展しているといえる。しかし、高知県が取り組む中山間地域の拠点としての「集落活動センター」と「若者」を結び付け、若者の定着をはかるための要因分析に到達することはできなかった。これらは、2020年度の課題となった。
|
今後の研究の推進方策 |
地方創生の諸事業の中で、自治体は移住・定住に向けた取り組みを活発に実施している。しかし、その取り組みはイベント性のある事業が先行し、若者の意向や志向を反映しているとは言い切れない。本研究で、若者が地域志向性を持ち、「田舎」や「地方都市」への共感を高く持っていることが明らかになったので、若者の地方定着対策としてより精度の高い政策へつなげていきたい。 本研究「集落活動センターを中心とした雇用創出と若者の地方定着」について、2018年度は集落活動センターへのアンケート、2019年度は若者側の地方定着要因を探るアンケートを実施したが、最終年度(2020年度)は集落活動センターでの訪問ヒアリング調査を通じて、集落活動センターが主体となって、「移住」は「若者雇用」について短期的・長期的な見通しを持ち得ているのか、また、それらを集落活動センターの「機能」として定着さえていく可能性があるのかを検証していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
視察に行くことができず、旅費を残したため次年度使用額が生じた。2020年度は、視察を含め、各所の訪問ヒアリング調査の実施を計画しており、滞りなく計画的に研究を遂行する予定である。
|