研究課題/領域番号 |
18K01966
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
中尾 啓子 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10274995)
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研究分担者 |
脇田 彩 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (00750647)
大槻 茂実 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (20589022)
林 拓也 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90322346)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 職業分離 / 国際比較 / 学歴 / 性別 / 近代化 / 対応分析 |
研究実績の概要 |
2022年度は,職業分離について2020年度までに進めてきた日本国内に関する分析を踏まえた,国際比較分析課題とした.また,これまでの研究から得られた成果を外国語の書籍として出版するための計画を開始した. 日本とアメリカの職業分離の比較から,次のことが明らかとなった.2020年度までの研究成果として,日本は1980年から2010年にかけて職業分離を生じさせる主要な要因は,学歴から性別に移ってきたことが明らかとなっている.同様の分析をアメリカのcensus of population and housing 及び,American Community Surveyを用いて行うと,1980年から2010年までに職業分離を生じさせる主要な要因は,性別から学歴に移ってきたことが明らかとなった.さらに日本では,学歴によらず性別の分離は生じているが,アメリカでは高学歴であると性別による職業分離が縮小することが確認された.アメリカでは大卒資格が労働市場において能力を示す「シグナル」として機能し,性別に関わらず専門職や管理職に就きやすくする.しかし,日本においては,特に女性については,大卒資格にそのような影響はなく,男性の大卒者だけが社会経済的地位が相対的に高い専門職や管理職に就いている. 産業化命題に従えば,職業の分配は属性原理から業績原理に移行することが予想され,アメリカの結果はこの予想に一致する結果といえる.しかし,日本の分析結果は産業化命題の予想に反するものである.この結果の背景には福祉レジーム論に見られるように,1970年代以降に日米が異なるルートを進んできたことが影響しているものと考えられる. 上記の研究結果を含む本研究課題の成果を,外国語の書籍として出版するために,研究会を開催し,2021年10月に出版社への入稿を済ませた.
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