研究課題/領域番号 |
18K01972
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
尾崎 寛直 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (20385131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レジリエンス / 災害復興 / 支援 / 受援力 / エンパワメント |
研究実績の概要 |
平成30年度は、当研究の初年度として、研究計画で挙げた地域の現地調査を重点的に進めることを追求した(一部の地域は従来からの調査地であり、定点観測を続けた)。現地では、訪問調査(面接型ヒアリング口述調査)を主としながら、関係の一次資料の入手にも努めた。それと並行して、関係地域の資料収集および文献研究、実地調査から見えてくる課題のスクリーニングを行ってきた。 まだ当研究は開始して途上ではあるが、被災地における住民の生活再建や復興においてはかなり地域差があることが確認された。今後さらにこれらの調査を続け、要因の特定と教訓の引き出しにつなげていく。なお、当年度の研究成果については、いまだ途上であるため、今回の調査を元にした論文は執筆中である(たとえば『ソーシャルワーク研究』2019年7月号に寄稿)が、学会等での研究発表という形では以下のように、端緒的に紹介してきた。今後さらなる研究成果の報告と論文等の執筆に傾注していく予定である。 口頭発表 「放射能汚染による健康被害者の援護制度構築に向けて~被爆者援護制度からの教訓とヒント」 第4回原発と人権 全国交流集会 第2分科会「原発災害と政策転換」(2018年7月29日実施) 口頭発表 「各種社会的災害の補償システムの比較研究から被ばく補償を考える」第2回トヨタ財団助成研究 共同研究会(2018年11月2日実施) 口頭発表 「もやい直し」の現代的意義を再考する第14回水俣病事件研究交流集会(2019年1月13日実施)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ「おおむね順調」という報告をさせていただいたが、今回は「おおむね」というところに力点がある。その意味は、机上で行える資料収集・文献渉猟については順調に進んでいるものの、実地での研究調査については、地域によって少しムラが出てしまったところがある。つまり、集中的に調査を行えた地域は予定していた回数以上になったが、その分、予定の回数に満たなかった調査地もある。 この要因は、学内業務の多忙化により土日業務が多く入ることになり、結果として調査日程をうまく組めなかった側面があることが一因である。他方、順調に進んでいる地域については集中的に行った方が効率的かつ合理的に情報が集められるという判断から、優先して取り組んでいったということも要因として挙げられる(これは必ずしもマイナスなことではない)。 今後は、限られた研究期間であることを意識し、予定の調査地域を満遍なくフォローできるよう努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には30年度の継続として、(1)現地調査(ヒアリング・一次資料入手)を継続的かつより積極的に進めつつ、(2)文献・資料調査による研究体系化、(3)震災・火山災害・社会的災害等の分類による比較研究、という流れで研究を進めていく予定である。 また、上述のように、30年度の成果を元にした論文執筆・発表も同時進行する予定であり、研究発表をまとめる過程で新たな研究視角や課題が浮上してくることもあるため、そうした観点も盛り込みながら、当研究をより充実させていきたいと考えている。
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