研究課題/領域番号 |
18K01972
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
尾崎 寛直 東京経済大学, 経済学部, 教授 (20385131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 災害復興 / 支援 / 受援 / ボランティア / 地域再生 |
研究実績の概要 |
本研究課題の3年目となる2020年度は、前年度末から発生したコロナウイルス災禍の影響を全面的に被る年となった。このかつてないパンデミックの災禍により、長期にわたる在宅生活を強いられ、前年度末(2~3月の春休み期間中)に予定していた調査研究もほぼ中止とせざるを得ない事態になってしまったことに始まり、年度が明けた4月以降においては、ほとんどすべてというべき調査出張を諦めざるを得ない状態が続いてきた。(また、まったく初めての経験となる全面「オンライン授業」への対応に年間にわたって忙殺され、恥ずかしながら研究面に予定通りのエフォートを割くことが叶わない状況に陥ったことも付記しておかねばならない。まったく想定外の事態であった。) そのため、定点観測を続けてきた地域への訪問も不可能な状態が続いてきており、かなりインターバルが生じたことの影響を懸念している。立て直しが必要である。 まずは上記の実情を前提としつつ、他方で、オンライン会議の恒常化によって研究者同士の交流は容易になった面もある。その点で2つの成果がある。①原爆被災(放射線災害)を専門とする研究者らとの共同研究会をオンラインで定期的に開き、国連で画期的な核禁止条約が採択されたことを受けて、日本を含む各国の放射線災害に対する補償や環境回復などの制度を国際比較する試みである。おそらく2021年末には核禁条約の発効に向けた動きが加速することから、われわれの研究成果を公表(ホームページ及び出版)する準備を進めている。②さまざまな社会的災害(とくに公害)を研究する研究者らとのネットワークがあらたにでき、それぞれの研究成果を持ち寄って一般(初学者)向けの出版(仮書名『公害からの問いかけ』)を年度内に進め、すでに脱稿している。2021年の早いうちに出版される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来は、2020年度は本研究の第3年次であることから、調査研究を重ねた上で成果をまとめる段階に入る予定を立てていた。しかしながら上述の通り、19年度末以降東京から地方への調査出張がままならず、対面でのインタビューなどの調査も行えない状態となっていたことから、当初の予定からすると遅れが生じている。(一方でオンラインでの会議システムは発達したものの、対象者のかなりの割合が高齢者であり、なかなかオンラインでの対応も難しい。) また、上記の理由から、予算的にも本来2020年度に配分されていた予算の3分の1未満しか使用できていない(ほぼ文献購入費に充てた)のもやむを得ないことと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
従前の現地調査および対面ヒアリングが本格的に再開できるのは2021年度後半以降になると考えられる。当面は近隣県の自治体(川崎市など)における資料収集などに留めておくことになるだろう。現地調査ができない期間は、これまで入手した資料や情報の分析と整理をしながら、少しずつ成果として公表できる部分から執筆を進めていくことになる。 ただし、すでに1年以上にわたって本来予定していた調査などができない(予算も使用できない)状況が続いていることから、今後、研究期間の1年延長をお願いせざるを得ないと考えている(延長の幅をどうするかもウイルス災禍の終息次第である)。 なお、コロナウイルス災禍が一定収束した段階では、このパンデミックがもたらした災害からの復興への悪影響、被災者への影響についても研究対象の一環としてみていく必要性を感じている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前頁の「進捗状況」の欄で書いたように、最大の理由は、当初の計画で予定していた研究調査がコロナパンデミックによりすべてキャンセルとなり、支出が0円(関連して謝金も0円)となってしまったためである。結果的に、文献の購入のみの支出となり、予定していた支出予定の3分の1未満にとどまっている。 ウイルス感染が一定程度収まるまでは調査出張も控えなければならない時期が続くが、おそらく2021年度の後半以降は徐々に解禁される状況も生まれるのではないかと期待している。その場合は、これまで定点観測を行ってきた地域へこれ以上のインターバルが生じないように、調査を再開していきたい。
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