研究課題/領域番号 |
18K01972
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
尾崎 寛直 東京経済大学, 経済学部, 教授 (20385131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 災害復興 / 支援者 / 環境保健 / まちづくり |
研究実績の概要 |
2020年度に引き続き、21年度も年間のほとんどの期間が「緊急事態宣言」ないし「まん延防止等重点措置」の管理下にあり、20年度同様、多くの地方出張を諦めざるをえない事態が続いた。そのため、定点観測を続けてきた地域への訪問も難しい状態が続いてきており、かなりインターバルが生じたことの影響を懸念せざるを得ない。(そのため、21年度も当初割り振られた予算の3分の1程度しか利用できていない。) 以上のような影響から、21年度は比較的近場で情報収集のしやすい現場として、研究計画にも挙げていた大都市近郊の社会的災害(大気汚染公害)の研究をまとめ上げていくことにかなり重点を置いた側面がある。 この点に関しては2021年10月に共著『公害スタディーズ ―悶え、哀しみ、闘い、語りつぐ―』(出版元:ころから)(筆者は大気汚染の章を執筆)が成果のひとつとして公刊できた。また、大気汚染をめぐる裁判後にあらたな主体の参画による環境保健活動に注目して研究を進めており、社会的災害を経験した地域にその教訓をまちづくりに実装していくための試みを捉えたいと考えている。この点は目下成果論文の執筆を進めており、2022年10月を予定して共著の一章として公刊を目指している。 なお、昨年度の状況報告で述べていた原子力災害(放射線被害)を専門とする研究者らとの被害補償と環境回復に関する共同研究(主にオンラインで実施)については、無事に核禁条約締約国会議に合わせて、共同研究の成果を公表(英文によるホームページ作成)できる段階になっている。2022年夏までには全世界に向けて発表できるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、2020年度と同様、地方出張を旺盛に行い、現地調査をすることが憚られた期間があまりに長かったため、従来定点観測していた調査ができていない部分は明らかに遅れが生じている。 他方で、大都市近郊の比較的行きやすい現場についてはむしろ重点的に調査研究を進めることができ、一定の成果につながっているため、この点では進展しているともいえる。
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今後の研究の推進方策 |
ただし全体としては、緊急事態宣言等により調査研究が停滞してしてしまった分野もあり、これらの立て直しと成果につなげていく努力が求められる。現状ではそのようなわけで予算の執行がきわめて限定的にしか行えていないため、研究期間の延長を希望している。 2022年度は、おそらく政府による行動規制はあまりなされない観測が高いため、これまでの停滞を取り戻すべく研究対象である地方部も含めて、積極的な調査研究を再開させていきたいと考えている。これまで一定程度成果にもつながっている大都市部の研究と併せて、上記の研究をまとめ上げていくことを通じて、本研究の最終的な成果につなげていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実績報告の欄で記載したとおり、年間のほとんどを緊急事態宣言等の管理下に置かれていたために、本来予定していた地方出張などがほとんどできないままに旅費の部分が極端に少なくなってしまったために多額の次年度使用額が生じたといえる。 2022年度は、おそらく政府による行動規制はあまり生じないと思われるので、これまでの停滞していた現地調査などを可能な限り実施し、計画的に予算を執行できるように努めたい。
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