研究課題/領域番号 |
18K01975
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡部 耕典 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90460055)
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研究分担者 |
飯野 由里子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (10466865)
熱田 敬子 早稲田大学, 文学学術院, 講師(任期付) (20612071)
堅田 香緒里 法政大学, 社会学部, 准教授 (40523999)
関水 徹平 立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (40547634)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 障害者のシティズンシップ / クィアと障害、フェミニズム / 日本軍戦時性暴力生存者支援 / ジェンダー・セクシュアリティ平等 / 貧困の「社会問題」化 / 「市民福祉」の制度化 / 経済的困窮と関係性の貧困 |
研究実績の概要 |
【障害・クィア班】岡部耕典:「よき市民」を強いられる障害者のシティズンシップの理論研究を行い、福祉社会学会大会シンポジウム(2018.6.17)、本科研公開研究会(2018.7.27)での報告を踏まえ論文を執筆。(2019.6刊行予定)飯野由里子:クィアと障害、フェミニズムの架橋をめざす理論研究を行い、Transnational Perspectives on Politics, Society and Culture(2018.7.6)、Conference on Disability, SOGIE and Equality in Asia2018.8.6)での報告及び飯野(2019)の発表を行った。 【ジェンダー・セクシュアリティ班】熱田敬子:中国山西省・海南島の日本軍戦時性暴力生存者支援団体の調査・支援活動への同行調査及び香港でのEqual Opportunities Commissionとジェンダー・セクシュアリティ平等を求める社会運動団体・活動家に対するインタビュー調査を行った。 【若者・貧困班】堅田香緒里:「子どもの貧困」という貧困の「社会問題」化及び生活困窮者支援における「市民福祉」の制度化の政策的な含意の考察。(堅田2019、The 15th East Asian Social Policy annual conference 2018.7.6)関水徹平:貧困(経済的困窮)とひきこもり(関係性の貧困)との重なり合いの基礎研究を行った。 【研究会・シンポジウム】研究成果と中間報告のための研究会を開催し(2018.7.27早稲田大学、2018.8.9早稲田大学)、今年度のプロジェクト全体の研究を総括し次年度の研究を推進するためのステップとする公開シンポジウムを期末に開催した(2018.2.24早稲田大学)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度として、研究基盤形成のための研究班ごとの予備的研究を行い、2度の公開研究会(2018.7.27,2018.8.9)及び次年度の研究の視角と射程を整理するための公開シンポジウム(2019.2.24)を開催した。 障害・クィア領域では、「よき市民」概念構築の基盤となる先行研究を整理し、フェミニズムとの架橋を含めた理論的視野を整理した。ジェンダー・セクシュアリティ領域では、中国海南島、香港での予備的調査を踏まえ、次年度以降の調査研究のための基盤を構築することができた。若者・貧困領域では、貧困の「社会問題」化と「市民福祉」の制度化、関係性の貧困の検討を通じて次年度以降の研究を進めるための視座を得ることができた。 日本の障害者団体に対する予備的調査(障害・クィア班)、ジェンダー政策と「よき市民」概念に対する先行研究調査(ジェンダー・セクシュアリティ班)、国内の若者支援団体・貧困者支援団体への調査(若者・貧困班)については、若干の積み残しがあった。 年度末の「差別解消法をめぐるマイノリティの社会運動」をテーマとするシンポジウム(2018.2.24)の開催によって、次年度に予定されている各研究班の調査の視角と射程を「包括的な差別解消をめぐる運動と政策の領域・地域横断的研究」へと整理することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、初年度の研究成果を踏まえ、マイノリティの社会運動に対する本格的な領域横断的比較研究を行う。 韓国を各班共通の調査フィールドとし、「包括的な差別解消をめぐる運動と政策の領域・地域横断的研究」を共通のテーマとして、それぞれの領域における調査を夏季に共同して行う。(障害・クィア班、ジェンダー・セクシュアリティ班、若者・貧困班) 合同調査と並行して、国内調査の初年度積み残し部分を精力的に実施する。(若者・貧困班、障害・クィア班) 他の研究班・研究協力者の協力も得ながら、調査研究と並行してジェンダー政策と「よき市民」概念の関係にかんする研究を推進する。(ジェンダー・セクシュアリティ班) 領域横断的な研究を推進するために必要なリソースの共有や調査結果の多面的な検討のために必要な研究会を適宜かつ機動的に開催する。 期末に2年目の各班の国内外の調査研究の成果を発表する領域横断的な合同研究会を開催し、成果の共有と深化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
障害・クィア班は、研究計画実施の過程で次年度の海外調査研究を当初予算計画を超える範囲と規模で行う必要が明らかになったため、主として設備費を圧縮し、次年度に繰り越すこととした。ジェンダー・セクシュアリティ班は、ほぼ当初計画どおりに予算計画が実施された。若者・貧困班は、国内調査に対する計画実施の遅延を主たる要因として予算の繰越しが生じた。未実施の国内調査については2019年度に実施する予定で計画されている。
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