研究課題/領域番号 |
18K01976
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 名誉教授 (20197502)
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研究分担者 |
小島 宏 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90344241)
小野 亮介 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (00804527)
岡井 宏文 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 講師 (10704843)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ムスリム / 地方自治体 / 多文化共生政策 / イスラム / モスク / 人口 / 地域社会 / 地域社会活動 |
研究実績の概要 |
日本の「多文化共生政策」は、2006年に総務省の多文化共生に関する報告書にも明記され、日本社会におけるいわば移民の社会統合政策に位置づけられるものである。一方で、具体的な政策実施は、地方自治体に任せられているのが現状である。日本におけるムスリム人口は、筆者の推計によると、2010年には約11万人であったが、2018年には約20万人となり、増加が続いている。また、モスク(礼拝所)の新規開設も継続しており、2019年末現在で、その数は105カ所を超えている。このように、日本におけるイスラムの存在感はますます高まっている。
代表者が主宰する研究室では、2017年11月に、全国のモスクが所在する地方自治体、約95箇所を対象として、行政当局への多文化共生政策に関するアンケート調査を実施した。その後、追加のインタビュー調査や、現地でのモスク周辺自治会へのインタビュー調査などを併用する調査を、いくつかの自治体でおこない、各自治体の「多文化共生政策」とその実施状況および対ムスリムへの多文化共生政策の実施状況とその効果や課題について、改めて、検証してきた。ただし、まだ調査の範囲は限られており、十分な成果が得られてはいない。 そこで、本年度の研究の中で、前述したアンケート調査結果のデータを利用して、分析を実施した。その結果、自治体のモスクとの交流実態や、当該地域のムスリムの多様性(国籍や宗派など)などによって、多文化共生政策のあり方も影響を受けることが示された。その他、今年度の研究の中で、従来から実施してきた全国モスク(マスジド)代表者会議の議事録作成を行い、最終的な報告書を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地方自治体の多文化共生政策に関する調査の分析結果を踏まえ、追加のヒアリング調査を予定していたが、当初の計画通りには、できなかった。新型コロナウィルスの影響もあり、年度のおわり頃と考えていた、出張などを含む調査は、全く実施出来なかった。2020年度も影響が残りそうだが、可能な限りで、追加のヒアリング調査などを実施する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、本課題の最終年度にあたることから、モスクとの交流関係を有する地方自治体を主な対象として、追加のヒアリング調査を実施することを予定しているが、新型コロナウィルスの影響もあり、調査が実施できるかどうかは不明である。そのため、代替策として、前回の調査では対象となっていなかったモスクが所在する自治体を対象とするアンケート調査を郵送にて実施することも考えたい。このほか、本来の本研究課題とは異なるが、現下におけるムスリム・コミュニティの状況に関するアンケート調査の企画や、帰化ムスリムの調査データを分析することも、あわせて考えてみたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の末期に、地方自治体の多文化共生政策に関する、追加の聞き取りを行う事を予定していた。しかし、予定していた通りの実施はできなかった。その理由としては、年度末に聞き取り予定を集中させすぎたこと。また、新型コロナの拡大が2020年初めから急速に拡大して、地方等への出張に困難が生じたことにある。 次年度の使用についても、現状では困難が予想されるが、聞き取り調査にともなう国内出張や、追加で考えているアンケート調査などへの支出を計画している。
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