研究課題
基盤研究(C)
本研究では、東日本大震災・熊本地震で甚大な被害を受けた小規模自治体の生活支援相談員や民生委員へのインタビューや参与観察などを通じて、発災時から避難生活期、仮設生活期に至る高齢者支援のプロセスを明らかにした。地域住民でもある生活支援相談員による支援は、公私の連続性を生かした災害ソーシャルワークとして、被災地で重要な役割を果たしていた。さらに、被災地では民生委員はヴァルネラビリティを深めやすいため、民生委員に対するサポートが緊要となることを示した。
社会学
生活支援相談員や民生委員による被災者支援について、社会学の観点から理論的・実証的に考察した。地域住民を活用した生活支援相談員の実践は、社会的ケアの職住分離規範と異なることから生ずる負の側面を抑制することによって、公私の連続性を生かした災害ソーシャルワークであることを示した。さらに、制度化されたボランティアとしての民生委員の分析から、心理的ヴァルネラビリティ論では被災者と支援者という二者関係の外部が重要となることを明らかにした。