東日本大震災被災地における地域ケア・システム構築の現状と課題について、被災者生活支援の継承に着目して調査を進めた。宮城県南三陸町の事例をとおして、次のことが明らかになった。仮設住宅を対象とした被災者支援を災害公営住宅においても継続させるという政策判断が、地域福祉視点での地域ケア・システムの構築につながった。被災者支援の実践のなかで、地域福祉のスキルを持った人が育った。この人たちがいたからこそ、LSAや生活支援コーディネーターを確保できた。高齢者生活支援施設の建設も、単なる箱物整備でなく、地域生活支援の拠点づくりになりえた。課題は、復興期間後も維持できる体制づくりである。
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