研究課題
浜岡原発と地元合意のプロセスについて明らかにするため、立教大学所蔵の資料に基づき、「地元の中の地元」と言われる佐倉地区対策協議会の果たした役割と組織変化について分析した。佐倉地区対策協議会は、当初は原発建設で土地を手放した地主を中心とした組織としてスタートしたが、3号機の増設時に佐倉の内部から不信が出てきたことにより、地主中心の組織からの脱却が図られたことが明らかになった。また、3号機増設時に、中部電力から着工への同意とは切り離して敷地造成を先行させる「お願い」があった。これに対して、佐倉地区に特別に協力金を出すことに慎重な中部電力から協力金を引き出す取引材料とするために、佐倉地区対策協議会はこれを「理解」し、交渉が行われたことが明らかになった。加えて、5号機の交渉過程について、佐倉地区対策協議会の当時の会長を含む当事者に聞き取り調査を行ない、5号機計画に反対した経緯の一端を明らかにした。「地元合意」の一環としての県民投票については、関係者への聞き取りと関連資料の収集と整理を行い、2012年に静岡県議会に県民投票条例案が提出された際の経緯と、論点について明らかにした。また、望ましい「地元合意」のあり方を模索するために、無作為抽出された市民による討議(ミニパブリクス)について検討し、討論型世論調査の手法を応用し、議論はオンラインで実施する方向での実施計画を立案した。さらに、第一段階となる静岡県民を対象とした意識調査については、調査票の原案を完成させた。
3: やや遅れている
望ましい「地元合意」のあり方を検討するためのミニパブリクス方式の討議は、当初計画では2018年度の実施を予定していたが、県民投票条例についての質的調査、調査票の作成に想定よりも時間がかかったため、2019年度での実施を目指す。
合意形成過程の実証的分析は、引き続き佐倉対策協議会資料の読解と分析を進めるとともに、関係者への聞き取り調査を実施する。望ましい「地元合意」のあり方の検討は、調査票を完成させ、2019年度中のミニパブリクス方式の討議の実施を目指す。
望ましい「地元合意」のあり方を検討するためのミニパブリクス方式の討議が、2018年度の実施を予定していたが、県民投票条例についての質的調査、調査票の作成に想定よりも時間がかかり、実施に至らなかったためである。ミニパブリクス方式の討議を実施する準備は整いつつあり、2019年度中の実施を目指す。
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Proceedings of International Simulation and Gaming Association 49th Annual Conference
巻: - ページ: 428-437
Local Environment
巻: 23(8) ページ: 846-860
doi.org/10.1080/13549839.2018.1480597