研究課題/領域番号 |
18K01996
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
若林 良和 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (10201146)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水産版食育(ぎょしょく教育) / カツオ / 産業文化 / フィールドワーク |
研究実績の概要 |
本研究は、水産社会学や文化人類学の視点から、総合的な水産版食育に関する実証的な研究を推進するものである。日本人の魚食を支えるカツオや、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の出汁素材である鰹節に関わる産業と文化に焦点をあてて検討する。カツオの産業文化の歴史性と地域性に着目して学際的なアプローチを試み、水産版食育「ぎょしょく」教育の概念の明確化と学術的な展開を明らかにする。その上で、カツオの産業文化に関するコンテンツを総合的に検討して、「ぎょしょく」教育プログラムの体系化を拡充し、食育実践のツールとして教育現場へ還元することが、本研究の最終的な到達点である。 本研究は次の2段階で進める。第1段階として、カツオの諸事象を産業と文化の問題として捉え、歴史的な動向と地域的な展開を念頭に置いて検討する。カツオの漁獲から販売までを「カツオ産業」、カツオの消費文化や地域文化を「カツオ文化」とそれぞれ位置付けて、それらの実態を包括的に把握した。第2段階では、第1段階の分析で得られた知見を、総合的な水産版食育「ぎょしょく」教育に展開させた。カツオの諸事象を魚触→魚色→魚職→魚飾→魚植という一連のプロセスを経て、魚食に到達するものとして検討した。 本研究の第1年度(2018年度)における研究実績は次の2点であり、積極的にフィールドワークと成果公表を図った。 第1に、調査研究としては、沖縄県宮古島市と本部町においてカツオ産業文化に関するフィールドワークを実施した。さらに、日本カツオ学会や日本村落研究学会、筑波大学などでカツオ産業文化や「ぎょしょく」教育に関する資料・情報収集、意見交換などを実施した。 第2に、研究成果としては、3件(大学紀要1件:宮崎県日南市のカツオ産業文化、学術広報誌1件:「ぎょしょく教育」活動の実践報告、博物館紀要1件:沖縄県宮古島市のカツオ産業文化)を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にしたがい、調査研究と成果公表は順調に進んでいると判断する。特に、研究の成果公表は、これまでに収集したデータも含めて整理・分析し、初年度にもかかわらず、3件に達した。 他方、調査研究は沖縄県でのフィールドワークは実施できたが、鹿児島県は実施できなかった。(ただし、宮崎県の研究成果の公表は、日南市のステークホルダーの協力もあって、これまでの蓄積データをもとに公表できた。)
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2019年度)も、当初計画にもとづいて、九州地方・四国理法におけるフィールドワークによる資料・情報収集を強力に展開したい。また、「ぎょしょく」の視点から、沖縄県や鹿児島県におけるカツオ産業文化に関する研究の成果公表を推進したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】当初計画のうち、鹿児島県でのフィールドワークが実施できなかったことによる。 【使用計画】次年度(2019年度)に鹿児島県でのフィールドワークを実施し、次年度分(宮崎県や高知県、愛媛県)とともに効率よく実施する予定である。
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