研究課題/領域番号 |
18K01996
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
若林 良和 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (10201146)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ぎょしょく教育(総合的な水産版食育) / カツオ / 産業文化 / フィールドワーク |
研究実績の概要 |
本研究は水産社会学や文化人類学の視点から、水産分野の食育に関する実証的な研究に展開するものであり、次の2段階で進める。まず、第1段階として、カツオの諸事象を産業と文化の関係で捉え、歴史的な動向と地域的な展開として把握し検討した。第2段階では、第1段階の分析で得られた知見をもとに、「ぎょしょく」教育への展開可能性と方途を検討した。 第4年度(2021年度)における本研究の実績は、次のとおりである。 本研究のメインワークであるフィールド調査は2021年度もコロナ禍で大きな制約を受けた。コロナ感染縮小期(2021年10~12月)に鹿児島県や宮崎県、福岡県、高知県、静岡県、三重県でフィールド調査が実施できたものの、地域に密着した体系的な調査研究としては限界があった。本研究の本来的な目的と方法からすれば、包括的で動態的な取組が求められるが、フィールド調査は十分に推進できなかった。そのための代替方法として、①すでに入手済みの文献や史資料を改めて丁寧に渉猟し直すこと、②これまでの人的ネットワークを活用して現地のインフォーマントとの間で、メールの交信、リモートのインタビューなどで関連情報を収集すること、③インターネット上の多種多様な情報については、その信ぴょう性を入念に確認しながら収集することの3点を試みた。 本研究の成果公表はコロナ禍のなか、上述の代替方法で積極的に推進した。2021年度のアウトプットは5件(雑誌論文3件:大学紀要(査読有)2件、博物館紀要(査読無)1件、学会発表1件、図書[編著]1件)であり、コロナ禍においても例年以上の成果をあげた。特に、図書については、編著者として出版に至る企画・構成・分析方法などを統括する一方、食育共創の概念的な意味付けを行いながら、本研究の中心的なアプローチである「ぎょしょく教育」の有効性を例証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画を念頭に置きながら、フィールド調査がコロナ禍のために部分的な実施にとどまったが、研究成果の公表は順調に進んだ。2021年度のフィールド調査は一部で再開できたが、限定的なものにならざるを得なかった。他方、研究成果の公表は、前述した3つの代替方法により既存の蓄積データ、従来のネットワークなどを駆使し推進した結果、当初の予定以上の成果となった。
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今後の研究の推進方策 |
第5年度(2022年度)は、最終年度に当たり、当初計画(日本各地の補充調査)を念頭に置きながら、調査研究を精力的に推進した上で、一定の最終的な総括を試みたい。 フィールド調査については、コロナ禍で十分に実施できなかった2020年度分(九州地方や四国地方、東海地方)も含め、コロナ感染状況を考慮しながら、日本各地で可能な限り推進する予定である。それが可能となった場合には、まず、2020年度分までのフィールド調査を完全に実施する。次に、2021年度に予定しながら未着手の関東・東北地方におけるフィールド調査を展開する。ただ、コロナ感染状況によって大幅な変更を強いられる可能性もあり得る。それが不可能となった場合には、これまでと同様に、3つの代替方法で対応していく。 研究成果の公表については、これまでの蓄積やネットワークを活かしながら、愛媛県や三重県、静岡県、千葉県、宮城県などの分析結果を積極的に公表する。その上で、2022年度は本研究の最終年度であることから、本研究全体の総括的な公表の可能性を探りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度までに実施予定であったフィールド調査は、コロナ禍の影響で全てを完遂できなかった。そのために、最終年度である2022年度において、これまでに実施できていない日本各地でのフィールド調査を可能な範囲で総合的に実施する予定である。
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