研究課題/領域番号 |
18K01998
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
鈴木 規之 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (60253936)
|
研究分担者 |
崎濱 佳代 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (00761115)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 沖縄 / 南米系日系人 / 文化資本 / ネットワーキング / 社会的排除 / 社会的包摂 |
研究実績の概要 |
2020年度は、コロナ禍の影響もあり、対面でのインタビュー調査は実施できなかったが、2019年度の調査結果をもとに、学会報告(崎濱佳代・鈴木規之「ホスト社会沖縄と日系人―ラテン文化資本の架橋性―~南米系日系人からの異文化学習を通した社会的ネットワーク~」第93回日本社会学会大会、10月31日、オンライン)と論文発表(崎濱佳代「多文化化する沖縄社会」沖縄国際大学公開講座委員会編『ボーダーレス・ダイバーシティ社会に向けて』沖縄国際大学公開講座委員会、pp171~212、2021年3月31日)を行った。 学会報告においては、2019年度の調査成果から、ミクロレベルの沖縄社会において、南米系日系人と彼らのもたらすラテン文化がどのように受け止められているかが明らかになった。対象者は、レッスンやイベント出演で得られる交流や資質を高く評価しており、サルサダンス以外のラテン文化へも関心が広がる様子が見て取れた。また、レッスンの場を共有することで、緩やかな助け合い(情報共有や、軽い相談など)のネットワークを築いており、そのなかで、南米系日系人の講師を自然とサポートしている他、他の外国人住民へも親切に振る舞うようになったとの回答もみられた。また、ダンス以外でのネットワーク(職場、家族、地元の友人など)の中で、ラテン文化や日系人の話題を提供したり、国際交流イベントに誘うなど、沖縄社会と南米系日系人との架け橋として振る舞うことも少なくない。サルサダンスという文化資本がホスト社会と南米系日系人を含む外国人住民との間を架橋する機能を果たしているといえる。 論文発表においては、基地文化、米軍基地から派生するアメラジアンの問題や南米系日系人の位置づけなど、沖縄における多文化化は、他府県と傾向が異なることや、そのなかでも、世代を経て「帰沖」した南米系日系人と沖縄社会の関係について論じている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、実際にラテン文化に親しんでいる住民にインタビュー調査を行い、ミクロレベルでの異文化受容と日系人の持つ架橋的社会関係資本へのアクセスについて分析を行うことを予定している。また、沖縄県では県の施策として沖縄県出身者の子弟を対象として留学生を受け入れる、5年毎に沖縄県で各国の県系人を招待して「里帰り」になぞらえたフェスティバルを開催するなど日系人との繋がりを県レベルで維持しようとしている。本研究では沖縄県の日系人関連の施策についてドキュメント分析を行い、マクロレベルでの架橋的社会関係資本への働きかけについても分析を行う予定である。 2020年度は、コロナ禍の影響もあり、対面でのインタビュー調査は実施できなかったが、2019年度の調査結果をもとに、学会報告(崎濱佳代・鈴木規之「ホスト社会沖縄と日系人―ラテン文化資本の架橋性―~南米系日系人からの異文化学習を通した社会的ネットワーク~」第93回日本社会学会大会、10月31日、オンライン)と論文発表(崎濱佳代「多文化化する沖縄社会」沖縄国際大学公開講座委員会編『ボーダーレス・ダイバーシティ社会に向けて』沖縄国際大学公開講座委員会、pp171~212、2021年3月31日)を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、実際にラテン文化に親しんでいる住民にインタビュー調査を行い、ミクロレベルでの異文化受容と日系人の持つ架橋的社会関係資本へのアクセスについて分析を行うことを予定している。また、沖縄県では県の施策として沖縄県出身者の子弟を対象として留学生を受け入れる、5年毎に沖縄県で各国の県系人を招待して「里帰り」になぞらえたフェスティバルを開催するなど日系人との繋がりを県レベルで維持しようとしている。本研究では沖縄県の日系人関連の施策についてドキュメント分析を行い、マクロレベルでの架橋的社会関係資本への働きかけについても分析を行う予定である。 2021年度は、夏季にインタビュー調査を行うことを予定している。もしコロナ被害の拡大などでインタビューができない場合は、県の南米系日系人関連施策のドキュメント分析に力を入れる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により予定していたフィールドワークができず、また報告書も作成できなかったため、補助事業期間延長を申請し、承認された。令和3年度はコロナ禍の状況が落ち着けばフィールドワークを実施し、報告書を作成する。
|