2021年度は、2019年度の調査結果をもとに、学会報告(崎濱佳代・鈴木規之「ホスト社会沖縄と日系人―ラテン文化資本の架橋性―~沖縄における南米系日系人と繋がるホスト社会のネットワーク~」第94回日本社会学会大会、11月14日、オンライン)を行った。学会報告においては、2019年度および2020年度の調査成果から、南米系日系人を受け入れるホスト社会としての沖縄社会が南米系日系人の持つ架橋性をどのように位置づけ、どのように受け入れているのかを、文化資本に基づくネットワーキング(ホスト社会、出身国社会、他県の南米系日系人社会との繋がり)の視点から精査・分析し、異文化学習者は年収や家族構成にかかわらず仕事や家庭以外の空間を多く求めていることを明らかにした。 新聞記事のドキュメント分析においては、全国紙と比較して、交流に関する記事や海外のウチナーンチュコミュニティに関する記事は多く見られるが、南米系日系人が抱える社会問題についての目配りは薄い事が明らかになった。2019年度の調査成果からは、ミクロレベルの沖縄社会において、南米系日系人と彼らのもたらすラテン文化がどのように受け止められているかが明らかになった。対象者は、レッスンやイベント出演で得られる交流や資質を高く評価しており、サルサダンス以外のラテン文化へも関心が広がる様子が見て取れた。サルサダンスという文化資本がホスト社会と南米系日系人を含む外国人住民との間を架橋する機能を果たしているといえる。 2022年度は、第95回日本社会学会大会において「ホスト社会沖縄と日系人―ラテン文化資本の架橋性―~沖縄における南米系日系人と繋がるホスト社会のネットワーク~」と題する発表を行い、これまでの研究成果をもとに『ホスト社会沖縄と日系人ーラテン文化の資本の架橋性ー』(平成30年度~令和4年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書を刊行した。
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