研究課題/領域番号 |
18K02004
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
寺島 拓幸 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (30515705)
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研究分担者 |
間々田 孝夫 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (10143869)
水原 俊博 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (10409542)
藤岡 真之 弘前学院大学, 社会福祉学部, 准教授 (60405727)
三田 知実 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20707004)
野尻 洋平 名古屋学院大学, 現代社会学部, 准教授 (40713441)
畑山 要介 立教大学, 社会学部, 特別研究員(日本学術振興会) (70706655)
畑山 直子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (10732688)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ポートランド / 消費文化 / 持続可能性 / エコ / ローカル / DIY / フィールドワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「環境先進都市」として注目を集めるオレゴン州ポートランドの消費文化を実証的に検討することによって,特有の消費文化とその持続可能性の実態解明,およびそれを支える地域コミュニティの役割を明らかにすることである。 2018年度に進められた先行研究の精査ならびに少人数による予備的な現地フィールドワークを踏まえ,2019年度9月には多くのプロジェクトメンバーが参加するフィールドワークが実施された。 当該フィールドワークでは,ポートランドの消費文化を形づくっている代表的な産業に着目し,持続可能性に関してどのような理念をもってどのような取り組みが実践されているのかを調査した。具体的には,環境保護や社会貢献の取り組みで著名なクラフトビールブルワリーならびにスペシャルティコーヒーロースターをそれぞれ3件ずつ計6件を対象に聞き取り調査を実施した。それぞれ重点の違いはあるものの,調査対象者の取り組みは,ソーシングから地域活動,非営利団体の支援,売り上げの募金まだ多岐にわたっていた。そこでは,社会貢献が生産者主導,すなわち消費者ニーズへの応答というよりも生産側における働き方や経営に対する考え方と密接に結びついているということなどが明らかになった。 また,ポートランドの消費文化に精通する現地研究者3名への聞き取りを通じて,発展分野,歴史的背景,その独自性および他都市との類似性,近年の状況などについて情報を共有し,それらの消費文化についてどのような解釈枠組みを適用するのが妥当か意見交換をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の2年目にあたる2019年度は,当初の計画通り,多数の研究メンバーが参加して本格的な現地フィールドワークを実施するに至った。 フィールドワークでは,当初参加予定であった本研究プロジェクトメンバーがすべて参加できたわけではなかったが,参加メンバーが欠員を補いながら調査を進展させることができた。調査対象者であるクラフトビールブルワリー,スペシャルティコーヒーロースター,現地研究者に対する聞き取り調査データは記録され,実施後にトランスクリプト作成がおこなわれた。フィールドワークの結果とデータは研究会を通じてプロジェクトメンバー間で共有された。 2019年度のフィールドワークの結果の一部(クラフトビールブルワリーへの聞き取り)はすでに論文のかたちにまとめられ,『応用社会学研究』第62号に掲載された。また,2018年度のフィールドワークの結果も『名古屋学院大学論集(社会科学篇)』第56巻第1号に掲載済みである。 2019年度のフィールドワークでも,研究計画段階では想定されていなかった新たな観点がいくつか抽出されたため,2020年度の研究課題として追加する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,5月に少数のプロジェクトメンバーによる補足的なフィールドワークが実施される計画であったが,新型コロナウイルスの問題で計画の変更を余儀なくされた。実施を年度末まで延期し,以下のような進める。 年度前半(~8月)は2019年度のフィールドワークで得られた資料ならびにデータの分析を進める。その結果については,学会誌や大学紀要等に論文を投稿する予定である。 年度後半(10月~)は,年度末のフィールドワーク実施を目指し,その準備を進める。具体的には,(1)2018・2019年度のフィールドワークから得られた知見から追加された研究課題の検討,(2)調査対象者の選定とアポイントメント,(3)半構造化インタビューで用いる質問項目の作成などである。 以上は定期的なオンライン/オフラインの研究会を開催しながら推進される。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では,2019年度に7名が現地フィールドワークに赴くことになっていた。しかし,うち2名が健康上の理由から参加できなかったため,次年度利用額が生じた。 2020年度は,前年度に参加できなかったメンバーが参加する補足的な現地フィールドワークを計画しており,「旅費」はこれに充てられる。また「物品費」は,引き続き関連する文献・資料の収集費用として使用される。
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