本研究は、アジアにおけるマイノリティへの排外主義の発生や展開の過程を明らかにするため、インド北東部におけるムスリムの排斥を事例として取り上げる。アッサム州に注目する理由は、人口の30%がムスリムであり、過去にもたびたびムスリムが移民排斥の標的となってきたためである。 アッサム州では移民排斥をめぐり、近年2つの大きな変化があった。1点目はヒンドゥー・ナショナリズムを標榜し、ムスリム排斥を声高に叫ぶインド人民党が2016年に政権党となったことである。2点目は2010年代後半に実施された全国登録簿(NRC)更新作業である。この2つの大きな変化に着目し、排外主義のあり方について分析した。
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