研究課題/領域番号 |
18K02009
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
菅野 剛 日本大学, 文理学部, 教授 (10332751)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 社会調査 / 郵送調査 / 社会階層 / 社会的ネットワーク |
研究実績の概要 |
2019年度は、まず、研究での隣接諸領域における急速な進展をふまえて、社会調査、統計学、データ分析、プログラミングに関して様々な情報収集と試行錯誤を行った。社会現象の記述と理解を進めるために、オーソドックスな質問紙法に基づく社会調査をベースとしつつ、テキストデータ、ネットワークデータ、地理・空間データ、画像データ、ビッグデータなど様々な素材を適材適所で扱えるのが理想といえる。そのためには情報処理の道具や器具を使いこなすことが必要であり、柔軟な対応が可能なソフトウェアを利用することも重要となる。他方で、全てのことについて、基礎的な事柄を押さえ、応用的な利用までをカバーすることが、ますます困難になってきている。研究を進める上で、自身の置かれた環境、利用可能なリソース、課せられる制約条件に応じて、実現可能性を念頭において研究をすすめる必要性が高まってきた。 研究の具体的内容としては、当初の計画に基づき、確率標本抽出に基づく郵送調査の準備を進め、実際に調査を行った。調査については、東京都練馬区において、選挙人名簿抄本より25歳から64歳までの男女について、確率比例抽出(等間隔抽出)、サンプリング作業を行った。諸般の事情により調査票を検討・修正し、1526名へ匿名回答調査票を発送した (宛先不明・転居先不明を含む)。本報告時点で暫定回収数は525程度、回収率は約34.4%である。 調査により、地域社会における格差、社会関係、政治意識について意義深い知見が得られる。既存の調査とのマージにより、大規模データとしても重要性を増す。個人情報の悪用や詐欺・犯罪に対して不安を感じられる方々が少なくない状況において、一介の研究者が郵送調査を実施することは敷居が高くなってきている。長期に渡って問い合わせを承る回答者の方もおられ、調査対象者の方々の立場から調査を省みる重要性をいっそう痛感する次第である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
様々な事情が生じたため、調査の準備の時期が当初のスケジュールに比べると遅れることとなった。また、これまでの実施経験と比べると、実際に調査を行う時期も遅くなった。さらに、新型コロナ感染症 (COVID-19) やこれに対応する社会状況の影響も受けている。具体的には、回収済み調査票の点検作業、エディティング、コーディング、データ入力作業などが進められていない。当初に想定していたスケジュールに比べると、作業の進行は遅れている。 ただし、郵送調査の回収は終えている。今後作業を進めていくことで、問題なく研究を遂行できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
既に実施した郵送調査について、幸いなことに調査票の回収が終了している。 今後は、調査対象者の方々から貴重な御協力を賜った、匿名回答調査票を丁寧に点検し、エディティング、コーディング、データ入力、ロジカルチェック、クリーニングなどのデータ化作業を進める。また、データを用いて基礎集計、クロス集計など基礎的な分析を行う。また、既存のデータとのマージを行い、比較データ分析が行えるように整えていく。その上で、より高度な多変量解析を用いてデータ分析を進める。 また、近年、隣接諸領域においてデータ分析手法が発展している。また、様々なオープン・データの利用可能性が拡大している。調査データ内だけで分析を閉じるのではなく、データとツールの双方の側面から、可能なことを模索・試行錯誤を進め、より有意義な研究成果へつながるように試みる。
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